第7話『恐怖の盗聴器』



《視点 エレナ》


 私は雪桜ゆきざくらエレナ。

 横浜魔導学校の准教授である。

 私には好きな方がいる。それは大魔王様。

 彼はあの有名な横浜巨大迷宮の大魔王である。

 最初こそ、緊張し怖い存在だと思ったが。

 いがいにも気さくで、お優しく、ちょっと傲慢だが、威厳があってむしろ、カッコイイ。

 外見もよく。女性が惚れ込むほど、美形で肉体美を持っている。

 腹筋フェチ私は彼にイチコロである。

 夜の運動を思い出し、悶絶。


 私がリビングのソファーで、テレビを視聴していた所だった。

 盗聴についての放送がされ、気になった。


「そういえば、うちにも機械があったような」


 確か、私の自室に発見器があったハズ。

 なぜ、あるかって?

 それは、友達にプレゼントしてくれたからだ。

 あるわけないが。使ってみようかな。

 テレビをリモコンで消し、立ち上がった。

 ちなみに、ダイ様は外出だ。どこに行ったんだろな?

 帰ってきたら、聞いてみようかな。

 自室のドアを開け、中に入る。


「確か、タンスに置いたっけ」


 私はタンスを開け、中を探る。


「あった、あった」


 私は盗聴器発見器に手に取る。

 まるで、トランシーバーみたいな形をしている。

『パソコン型グリモワール』である『パソグリ』でネット検索し、調べる。

 まずは他の無線機器や電子機器をオフにする。じゃないと誤検知してしまうかららしい。部屋にある機器をオフにしていく。


 そして、発見器を操作。


 まずは居間である。

 コンセント周りをかざした瞬間。

 ビープ音が鳴り、赤いランプが光る


「え?」


 誤作動かな?

 電源を落とし、もう一回かざす。

 さっきと同じようにビープ音も鳴るし、赤いランプが光る。

 ダイ様の顔がふと浮かぶ。

 いや、まさかね。

 急に、背筋が凍り、怖くなってきた。

 私は自室に向かって、調べた。

 すると、コンセントの差し口にピープ音が鳴り、赤いランプが光る。


「うわ……」


 正直、ドン引きである。すごい、気持ち悪い。

 誰がこんな事をしたんだろう?

 ダイ様?

 いや、こんな事をするような方じゃない。

 日々の暮らしで、彼の性格や嗜好は、そこそこ理解している。

 こういう事をするタイプだと、到底、思えない。


 まさか、ディアナさん?


 彼女は真面目で優しい方だ。だが、彼女は悪魔だ。

 意外と、こういう事を平気でできるタイプなのでは?

 推理をしてると、インターフォンが鳴る。

 私は思わず、飛び跳ね。慌てて、発信機を机の中にしまう。


 誰だろう?


 私は深呼吸し、部屋から出て。リビングにある、ワイヤレスドアホンを見る。

 そこに映っていたはディアナさんだ。


「(ディアナさん……)」


 まさか、盗聴器がある事がバレたと思って、来たのではないだろうか?

 そうだとしたら、中に入れさせる訳にはいかない。

 ダイ様が犯人ではないなら、助けを呼ぶべきだろう。

 私はすぐさま『スマグリ』を操作。ダイ様にチャットを送る。


「エレナさん」

「ひゃッ!!」


 誰かが、声をかけられた。

 振り返ると。黒髪の美女がいた。


「でぃ、ディアナさん?」

「こんにちは、エレナ」


 ディアナさんは、何食わぬ顔で挨拶し、立っていた。

 転移魔法!?


「もう、ディアナさん。勝手に入っては、いけませんよ?」

「それはすまない。てっきり、泥棒が入っていると勘違いした」

「そうですか。安心してください、大丈夫ですから」


 怖い! 本当に怖い!

 彼女はこうやって、人様の家に勝手にあがりこんでいるのだろうか?

 不法侵入ですよ? 犯罪ですよ?

 彼女は人間の常識や法律を理解していないのだろか?


「ダイ様がこの前、カステラを購入しました。食べます?」

「もらっていいのですか?」

「もちろんです。カステラはお客さんようですから、食べても問題ないです」

「では、いただきます」


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