第5話『大学受験』


 そして、冬。


 俺は大学の筆記試験を受けていた。

 試験科目は数学、理科、外国語、魔導学、補助魔術学である。

 理科に関しては事前に科学、生物、物理、地学の中から選ぶ。

 俺は科学を選んだ。

 外国語は英語を選択。

 テストの難易度は、そこそこだ。全部、解いたが。

 何カ所か、ダメであった。まあ、8割はあってるだろう。

 合格点はとれているハズだ。

 次の日。実技試験を受験。

 大学の訓練所に受験者が集まった。


「みな、集まったか。それでは試験内容を説明する。みてのとおり、訓練所にはた

 くさんの的がある。今は制止しているが、動くようになっている」


 そう言って、試験官は手に持っているタブレットを操作。

 すると、試験官の言うとおり、的が動き出す。


「制限時間以内に、動く的を破壊する事。魔術の発動スピードや命中度、破壊力などが評価される。狙ってうった攻撃魔法が的を外すとマイナス点になるので、気をつけろ」


「――質問はあるか?」

 誰も手をあげない。


「全てを破壊するのか?」

「的は破壊すれば復活する。より多くより早く、正確に破壊する事だ。復活した的を破壊するのもアリだ。復活した的を破壊しても採点される」

「わかりました」

「よし。他に質問がある受験者はいるか? ――いないのようなので。これからテストを始める」


 俺の番が回ってきた。


「番号○○○○。位置につけ」

「はい!」


 訓練所の中心に向かって、小走りで向かう。

 なんというか、ワクワクするな。

 俺は訓練所の中心に立ち、呼吸を整える。


「準備はいいか?」

「はい!」

「制限時間は10分だ。より多くより早く、正確に的を破壊せよ」


 試験官がタブレットを操作。的が動き出す。

 的の大きさはサッカーボールの5倍の大きさがある。的の数は100個。

 さて、どんな魔法を使おうか。


「では、試験開始!」


 俺は小手調べに、東側にある的を狙う。


「《ダークバレット(闇弾Ⅰ)》」


 1発の弾丸を放つ。

 上下左右に動く、的を着弾。的は闇に包まれ、静かに壊れる。

 闇弾Ⅲで破壊できるんだな。


「《ファイヤロックソード(火石剣Ⅱ)》」

 10本の火石剣が的に向かって放たれる。

 10本とも的に命中し破壊。

 ちまちま、やるのも効率が悪い。


「《トラッキングライトバードバレット(追尾型光鳥弾Ⅲ)》」

 100羽の光に包まれた鳥が、弾丸のように飛び。

 100個の的に着弾。的を突き破り、隣の隣の隣の――隣の部屋にまで届いた。

 試験官は驚きのあまり、顎が外れた。


「Ⅲはマズかったか……」

 Ⅰで十分だったな。


「《トラッキンライトバードバレット(追尾型光鳥弾Ⅰ)》」


 100個の的を破壊し、復活しては破壊。それを何度も繰り返す。

 我ながら芸がないと思うが。試験官をこれ以上、驚かせて、また顎が外れても困る。


「試験終了。受験者よ、魔術をやめよ」

「はい!」


 試験は終了し、俺は試験会場の玄関を出る。

 大学の門には、見知った顔がいた。

 俺は早足でそちらに向かう。


「主様!」

「お、ディアナじゃないか。待たせたな」

「どうでしたか?」

「ちょっと、やりすぎたが。大丈夫だろう」

「そうですか。ダイ様なら、合格してますよ」

「まあな。よし、試験も終わったわけだし。ご飯でも食べよう」

「はい、行きましょう!」


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