第2話『エレナと同居』


 そして、俺は引っ越しをする。もちろん、俺もやる。

 必要そうなモノは、片っ端からアイテムボックスに収納。


 転移魔術で彼女のマンションまで転移。


「ここですよ」

「おお、広いな」

「3LDKはありますよ」

「おお、そうか」


 茶色と白を基調きちょうとした、モダンな空間である。

 家具は少ないが、大学の准教授ともあり、大きな本棚ほんだながあり、書物でびっしりである。俺は、ベランダに向かった。カーテンと窓を開ける。


「あ」

「だ、大魔王様!」


 ベランダには下着が干してあった。

 白いレースの薄ピンクパンツと同色のブラジャー。

 黒いパンツと同色のブラジャー。

 それにTバック。


「すげぇ~」


 いい景色だ。ずっと見ていたい。


「だ、大魔王様!」

「ん?」

「『ん?』じゃないです! それ私の下着なんですよ!」


 エレナは顔を真っ赤にして、プンスカ怒り、窓を閉める。


「大きいな。何カップ?」

破廉恥はれんちですよ! 大魔王様。女性に胸のサイズを聞くのは!」

「ゴメン、で、何カップ?」

「Hカップです」

「デカいな」

「……よく、言われます」


 彼女は恥ずかしそうに、もじもじする。

 すげぇ、可愛い。


「なあ、エレナ」

「何でしょう?」

 俺は彼女に近づき、耳元で、

「夜とか楽しもうな」


 なるべく低い声で囁く。


「!!」


 エレナは驚愕で目を大きく見開き、口をパクパクさせる。

 彼女はすごく可愛い。絶対、俺のモノにしたい。


「よしじゃあ、俺の部屋を案内してくれ」


「は、はい!」



 俺とエレナで買い物である。マンションから一番、近いスーパーに入店。

 俺はかごをカートにいれ、進む。

「私がカートを押しましょうか?」

「いや、いい。俺がやる」

「そうですか。では頼みます」

「おう!」

 

 店内は昼時という事もあり、お客が多かった。

 30代くらいの子育てママに70代くらいの、おばあちゃんまで、いろんな人がいた。視線の矛先は、もちろんエレナだろう。

 見惚れている、奥様や、おじいちゃん、おばあちゃん、もいる。

 まあ、気持ちはわかる。

 それにしても、店内はひんやりしていて、気持ちがいいし、空気もおいしい。


「よし、俺が昼飯を作る」

「左様ですか?」

「パスタでいいか?」

「はい、パスタでいいですよ?」

「俺さ、パスタが好きで。よく作るんだ」

「そうなんですか! 大魔王様も料理をお作りになるんですね」

「まあな」


 俺は、どんどん材料を入れていく。

 パスタ麺、トマト缶、ガーリック、茄子、ベーコン、粉チーズ――


「デザートはパンケーキでいいか?」

「パンケーキですか、いいですね!」



 マンションに着くと。見知った奴がいた。

「ディアナじゃないか」

「主様。こんにちはで、ございます」


 黒髪を一つに束ね、黒騎士装備をした美女が丁寧なお辞儀をする。

 彼女の名はディアナだ。


「どうしてここに?」


 彼女は近衛隊副隊長のディアナだ。確か、俺の護衛は断ったハズだが?


「わたしも、このマンションに住みます」

「え? 何でだ?」

「わたしは主様の近衛隊副隊長です。主様の身を守るため、引っ越しをしました」

「ふ~ん、そうなのか」


 おそらく、近衛隊隊長であるグリオンの差し金だろ。あいつは過保護だからな、何かと心配なのだろう。だからディアナを送ったのか。


「安心してください。主様の隣に住む事になりました。何かあれば、すぐに駆けつける事ができます」


 いわゆるボディーガードだ。俺は強いから自分の身は自分で守れる。

 だが、俺は大魔王。守護の対象になるのも致し方ない。


「それはありがたいな」

「主様。立ち話もあれです。部屋に入りましょう」

「そうだな」

「お荷物、持ちます!」


 ディアナは荷物を持とうとしたが、俺は手で制す。


「いや、いいよ。俺が運ぶ」

「左様ですか?」

「ああ、これくらいやらせてくれ」


 重たい荷物を女性に運ばせるのは、俺の紳士的な心が許さない。


「ほら、いくぞ」

「はい」


 俺達はエレベーターに乗る。

 エレナは慣れた手つき、ボタンを押す。

 エレナとディアナの甘い体臭をかぎ。ちょっと刺激的な気分に浸る。

 エレベーターから出て、廊下を通る。


「では、わたしはこちらです」

「じゃあ、俺もこっちだから。6時頃、来い。夜の食事を一緒にとろう」

 しょうがない、コイツも誘うか。

「はい、かしこ参りました」

 エレナはクールな表情でお辞儀し、隣のマンション部屋に入った。


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