第740話 残りはワーウルフ5人の部隊だけ――
残りはワーウルフ5人の部隊だけ――
そのワーウルフ5人の部隊だが、ちょっと変わったバランスで攻めて来た。
1機が上空に上がり、4機が地上に残るパターンだ。
事前の話し合いでは、このパターンの場合、アーサーが敵の射撃を避けながら、飛ぼうとしている1機を潰す、そんな作戦になっている。
ただ、この作戦は使えそうにない。
というのも、飛ぼうとしている1機を除いた残り4機のリョウサーンは射撃ではなくビームサーベルの刀身を生み出した後、俺目掛けて突っ込んで来たのだ。
なんで俺?
『狩りの基本は弱い奴から狙う事!』
『これは常識だ!』
『カボにも性能差があるみたいだ、あいつはいつも隣のカボよりほんの少しだけ攻撃が遅れていた!』
『あいつから狙えー!!』
という事たらしい。
雑魚呼ばわりとは悲しい。
俺の攻撃がカボーネより遅れていたのは、カボーネの攻撃に合わせていたからだ。
しかし、今までの奴等に比べたら、ちゃんと戦闘を見て、多少考えて行動している分マシかもしれない。
さて、4対1か……
手加減したままだと到底戦えないが――
その時、スッとアーサーの期待俺の隣に並ぶ。
『作戦変更です。私とカボルドで4機を押さえている間に、カボーネが奥の1機を狙って下さい』
『お任せください!』
カボーネが左を抜けて、奥の1機に狙いを定める。
すると――
なんと4機のリョウサーンがくるりと方向転換した。
『群れから逸れた奴を狙うのが狩りの鉄則だ!』
『弱い奴よりも狙いやすい!』
『むしろそいつが一番の弱者の可能性が高い!』
『掛かれー!!』
……アホなの?
『……カボルドさん、後ろから撃っちゃっいましょう』
「……了解」
ドォーン、ドォーン……
ドォーン、ドォーン……
俺とアーサーが放ったビームが、次々とワーウルフのリョウサーン達を沈めていく。
で、残った最後の1機も後少しで飛び上がれそうだったが、ギリギリ間に合わずにカボーネによって撃墜された。
さて、これで全部かな。
ワーウルフに1人、チームからあぶれた人が居たけど……
その最後に残ったワーウルフにアーサーが声を掛ける。
『さて、全員に模擬戦を経験して欲しいわけですが――……1対1で戦いますか?』
『……いや、俺にもカボを4体貸して欲しい。俺はそれで戦う』
『なるほど、そう来ましたか――ええっと……今許可を貰うので少々お待ちくださいね』
アーサーはそう言うと、相手との通信を切り、俺に繋げて来た。
『……という事らしいですが、カボを彼に貸しても構いませんか? アーバン殿?』
わぁお! ばれてーら!
「……いつから私だとお気づきに?」
『やはりアーバン殿でしたか。本当を言うと、確信はその返事を頂けるまでありませんでしたが――途中からカボにしては動きに違和感がありまして……ワーウルフ達も言っていましたが、明らかにカボーネさんの動きを意識してましたよね? わざと強さを合わせている様な……そんな違和感がありまして。そんな事をやりそうな人物と言えば、ネフィス家の誰かの可能性が高い。その中でもアーバン殿が一番可能性が高いかな、と――』
俺ってばどんな印象をもたれているのだろうか?
実際やっているから何とも言えないけどな!
「カボを貸し出すのは構いませんよ。あと、私はもう十分に楽しみましたから、アーサー殿も最後は本当にカボ2機を使いますか?」
『…………いっそ、彼等にこの国のトップの実力を思い知らせておくのも良いかもしれませんね』
「はい?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます