第128話 「生徒会長!いくら何でもこの額はおかしいと思います!!」
「生徒会長!いくら何でもこの額はおかしいと思います!!」
俺は今、チラズと2人で部長会議なるものに参加させられている。
2か月に一度行われるこの会議には、各部活の部長には参加義務があるそうだ。副部長は任意で参加出来る
議論は白熱している様だ。
「何で部員がたった9人しかいない部に、これだけの額の部費が出るんですか?!部員数80名近くいる我々魔術部と同じぐらいの額じゃないですか!納得できません!」
白熱している原因は魔道具研究部だったりする。
ちなみに魔術部の部長はケイトでは無い。ケイトは去年に引き続き副部長に収まったようだ。普通副部長がそのまま部長になるんじゃないの?と思ったが、魔術部は部員が多いので副部長が2人いるのだとか。つまり熱弁している現部長も、去年は副部長だったそうだ。そういえば文化祭の時のパフォーマンスで見た気がする。そのケイトは熱弁する部長の横で涼しい顔で資料に目を通している。
ついでに言うとウチは去年まで副部長がいなかった。つまり俺は副部長をやっていない。なにせ部員が少ないから必要ないと判断しての事だ。つまり会議には初参加だ。今年はチラズに副部長を任せている。色々押し付けようと思――彼の勉強になると思ってね!分かるかい、すべてはキミの為なのだよチラズ君。
「部費は部員数で全てが決まるものでは無いと、去年も説明したじゃないか」
去年も似たような事が議論されてたのか……知らん間にサリーに苦労を掛けていたようだ。
「実績、という事でしたね?」
「そうだね」
「だったらなおの事納得出来ません。彼らは魔道具玩具で遊んでいるだけではありませんか。何の実績があるというのですか?!」
おや?次元収納は実績にはならないのか?……ああ、あれの開発が俺なのは公には発表されて無いんだった。という事は他の魔道具の特許もそうか。では確かに何の実績も無いな。実際
「彼らが文化祭でゴーレムを配ったのは知っている?」
「確か10センチ程度のゴーレムを何体か配ったと聞いていますが、それが何か?」
「それとトーナメントで優勝したチームに50センチほどのゴーレムを5体だね。そのどちらも、既存の魔導玩具であるゴーレムとは一線を画す代物だ」
「それは知っていますが。それがなぜ魔道具研究部の手柄に繋がるのか分かりかねます」
それを作ったのが魔道具研究部の部員だからでは?
「キミ。同じものを同じ数だけ仕入れろって言われたら出来る?」
仕入れ?あ、ゴーレムを作ってるのが魔道具研究部、というか俺なのも秘密なのか。……もう公表して良いんじゃないだろうか。いや、少なくとも正式な陞爵の儀式とやらまでは駄目か。
「……不可能ですね」
「だろ?でも魔道具研究部にはそれが出来た」
「それを部活動としての実績としてカウントするのは違うと思います」
「そうかな?部活動の成果だと思うけどね。大貴族ですら入手困難な魔道具を大量に仕入れたんだよ?それに貴族としてもそれだけの魔道具を揃えられるコネクションがあるのは称賛すべきじゃない?貴族としてコネクションづくりは何より大事だからね」
擁護してもらっておいてなんだが、その言い訳は苦しくないだろうか?
それとも王立学園の部活動においてはコネづくりは実績として認められているのだろうか?
「だとしても来年も同じ水準の物が用意出来るとは限らないんじゃありませんか」
あ、それで今年の実績として認めてくれるんだ。
「そうしたら部費を下げることも視野に入れるけどね。今はこの額が妥当だと考えているよ」
「ゴーレムを用意しただけでは多すぎると思います」
「あのゴーレム全てをプレゼントじゃなくて販売すれば、その部費の倍以上の値段で売れたと思うけど?」
え?そうなの?
もしかしたら将来売り出す予定の10センチゴーレムの価格設定を見直した方が良いかな?
というか当人そっちのけで盛り上がってるな。
俺、まだ一言も発して無いんだけど?
「だったらそうさせれば良いじゃないですか?」
「それは君たち魔術部に、部費を削減するから魔法で稼いでねって言うのと同じことだと思うけど、そうして良いのかな?」
「い、いえそれは――」
「よろしいですか?」
ケイトだ。
「何かな?」
「今年の魔道具研究部の部費の予算額が多い理由はわかりましたわ。しかし魔道具研究部の部費が急に上がったのは第5王子が生徒会長に就任された直後ですわよね?また、同時に部室棟の屋上に第2部室まで新設されています。理由をお聞かせ願えますか?」
ケイト、教室じゃ味方なのにここでは敵なのか。
「魔道具研究部の予算を決める前に、彼らが溜め込んでいた魔道具をチェックさせてもらってね。驚いたよ、活動内容は魔導玩具で遊んでいるだけのはずの部活が、多くの希少な魔道具を持ち込んでいたのだから。きっと代々の部員たちがコツコツ溜め込んだんだろうね。だとしたら、むしろ今までの予算が少なすぎた可能性が高い。それまでのお詫びと埋め合わせも兼ねて少し多めに予算を出したんだよ」
う、ううん。やっぱり言い訳が苦しい気がする。
「噂では、魔道具研究部は王家に多くの魔道具を献上しているとか――」
「賄賂を疑ってるってこと?それは流石に王家に対して不敬すぎない?まぁ、良いけど。確かに幾つかの献上品は貰っているよ?でも賄賂を渡して部費を増やして何になるのさ?その献上品を売ってそのお金を部費に回せば良いだろ?」
「部室の移転や新設などは、生徒会の許可が必要でしょう?」
「ああ、なるほどね。でも部室を新設させたのは、視察した時に貴重な魔道具や希少な魔道具が所狭しと乱雑に置かれているのを見かねたからだよ?流石に狭すぎると思ってね。移転は単純に部員が増えたからだしね。今は減って9人だけど」
「なるほど……納得しましたわ」
え?納得してくれたの?
「いや、しかしそれでもやはり部員数に対して部費が多すぎますし、部室だって広すぎます」
あ、話が元に戻った上に部室の話も加わってしまった。
「部室の話は来年の会議で決めようと思う。来年も魔道具研究部に入部希望者が大量に現れるかもしれないからね」
「アーバン=グランシェルドが卒業するのにですか?」
そう言えば、俺が入部した年は入部希望者は俺だけだったし、翌年は1人もいなかったな。
「アーバン君と入部希望者の数に何か関係があるのかな?」
生徒会長がニッコリと笑う。
これは公にしてない情報を使うなって言いたいんだろうな。公然の秘密みたいになってて、俺が次元収納を作ったのはもう多くの高位貴族が知ってるみたいだけど。
「……いえ、失礼しました」
「では魔道具研究部の予算は当初の額面どおりということで。では次の議題は武術部のキール君のファンクラブが一部暴走している件についてだけど―――」
魔道具研究部の話だったのに結局一言も話さずに終わってしまった。別に何か発言したい事があったわけじゃないから別にいいけど。それにしても今回も生徒会長には手間を掛けさせてしまったようだ。生徒会長には後で更に小型化に成功した6センチゴーレムをプレゼントしよう。
ここまで小型化するのにはかなり苦労した。ボディの中に薄い板型魔道具を5枚組み合わせたヤツを埋め込むことで何とか上手くいったゴーレムだが、10センチゴーレムを作るのに比べて3倍ぐらいの時間が掛かってしまうので量産とかは無理そうだ。10センチゴーレムより更に脆いという欠点もあるしな。
そう言えば以前配った10センチゴーレムは大事にしてくれているだろうか?
……遊んでくれてはいない気がする。もしかして城勤めの魔道具師たちに渡してバラさせたりしてないだろうか?……してる気がする。
やっぱり差し入れはゲーミングチェアにしておこう。
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