第70話 少し世間話をした後、

 少し世間話をした後、直ぐに扉型次元収納を設置する場所やデザインの話に移った。いくらネフィス家の敷地が広大とは言え、高さ8メートルにもなるソレを設置出来る場所は限られる。むしろどこに設置するかの話し合が一番難航するかと思ったのだが、すでにそれ用の場所を用意してあるとの事。俺に聞きたいのはその場所が次元収納の魔道具の設置に適しているかを尋ねたいらしかった。


 案内されたのは裏庭で、こちらも手入れが行き届いている。その中央に円形のスペースが作られており、本来なら噴水でも設置するスペースの様に見える。


 「あそこに設置するんですか?」


 俺が尋ねるとニーナが頷いた。


 「ええ、こちらではそうしたいと思っておりますわ。ただ、魔道具を設置するのに適していないのであれば別の場所を用意させますが」


 ふむ。

 実は今回、サイズがサイズなので簡単に移動できるように木製にしようと考えていたのだが。あの場所に常設するのであればむしろ盗難防止も考えて思いっきり重い方が良いかもしれない。また木製だと長い間風雨に晒されれば簡単に風化して壊れてしまうだろう。

 スペース的には目算で半径20メートルぐらい在りそうなので十分だ。むしろ広すぎて若干余白のスペースが寂しい。

 もう一機、搭乗用騎士ゴーレムを作ってそちらにはサリーに乗って貰って、門の左右に胸に剣を掲げた騎士ゴーレムを配置すると凄く絵になりそうだな。……サリーが騎士ゴーレムに乗ってくれるかはわからないけど。


 おっと、話が逸れた。今は魔道具の素材だ。

 今回は木材で作るつもりだったので木材しか持ってきていない。

 鉄だと錆びやすいしミスリルだと必要な魔力量が多すぎて誰も作動できなくなってしまうので、出来れば石材がベストだろう。と、ニーナに伝える。


 「なるほど、当家としては出来ればベストな建材で作って頂きたいですね。石の種類は何でも構いませんの?」


 「はい。ただ出来れば重く丈夫な方が良いかと。見栄え重視でも構いませんが」


 「では大理石などどうでしょうか?」


 「良いと思いますが、そのサイズの大理石を準備するのには結構時間が掛かるのでは?」


 「今から発注すれば2日後には届くでしょう。その間はウチにお泊り下さい」


 2日で届くのか、たぶん大分無理を言ってるんだろうな。流石侯爵夫人。

 ……というか。お泊り!!お泊りである!!

 枕投げしたり、朝まで好きなロボットについて語り合うあのお泊りである!!え、違うかな?枕投げは普通友達の家ではしないか?いや、でもこんなに大きなお屋敷だし、出来るよね?あ、万が一壺とか割っちゃったら物凄い額の弁償になるのか?

 ………こわ、やめとこ。となるとやることは1つ。やっほーい、朝までチラズとロボット談義だ!

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