第67話 「卒業おめでとうございます。コーネリア先輩」

 「卒業おめでとうございます。コーネリア先輩」


 卒業式の後、彼女を自宅まで送り届ける馬車の前でコーネリアと握手を交わす。

 俺に続いてチラズも同じようにお祝いの言葉の後に握手をした。


 「ありがとう2人とも。それと態々屋敷まで来てもらう事になってすまないな」


 「いえいえ、友達の家に遊びに行くなんて初めてなので楽しみです」


 そう言うと、サリーを含むその場にいた3人に可哀そうな者を見る目を向けられてしまった。

 ち、違うぞ?別に友達がいなかったわけじゃ――あ、居なかったんだった。

 全寮制の学園なので、入学後に出来た友達の家に行く機会はあまり無いしね。と言うと、長期休みの期間は普通社交に勤しむものなのだと教えられた。

 え?うそ。俺自宅でメイドとゴーレム弄ってただけだったけど?そう言えば両親が時折出かけないかと訊ねて来ていたが全部断っていたな。もしかしてあれって他家のパーティとかだったのかな?いや、でもそれは友達の家に遊びに行くにカウントしないからセーフだな。


 「それではまた後日、君たちに会えるのを楽しみにしているよ」


 そう言ってコーネリアは馬車に乗り込んで去って行った。どちらかと言うと白馬に跨って、と言う方が似合いそうだが、馬車に乗り込むだけでも王子さまという単語を連想させるイケメンっぷりだ。というのは年頃の女性に対して失礼だろうか?





 卒業式から長期休暇までは10日ほどあり、その間の魔道具研究部の活動内容と言えば、サリー用のゴーレムの構想を話し合ったり、チラズに簡単な魔法陣のレクチャーなどをして過ごした。


 サリーのゴーレムだが、女性の形をしたアンドロイドっぽい見た目のゴーレムになりそうだ。あまり人に寄せ過ぎた見た目にせずに、人の形をしたロボットって感じかな?正直そういう造形はあまり得意ではないので、頭部だけゴーレム魔法で作ってあーでもない、こーでもないと作り直したり、全体のラフな感じだけ作って、シルエットはもっとスカートっぽくとか、まだそんな段階だ。サリーはデザインにはかなりこだわる方なので楽しいけど大変だ。


 チラズは魔法陣を描く才能があるっぽい。流石にまだ複雑な魔法陣は理解できない様だが、ランプなどの簡単なものなら、もう見本は無くとも描けるようになった。俺が卒業するまでにはゴーレムを作れるようになっていてくれると嬉しい。そしてゆくゆくは第2部室を小型ゴーレムで埋め尽くして欲しい。そうしたら卒業後もたまに遊びにこよう。


 あと個人的に、対象のサイズが次元収納の魔道具より大きな物でも収納出来る次元収納の魔道具を研究中だ。この前思いついた次元収納の魔道具の中に次元収納の魔道具を収納するアイデアを応用して魔法陣化出来れば実現出来そうだ。とは言っても最近色々やっているので完成はもうちょっと先の話になる。


 そんな事をしていると、あっという間に長期休暇に入った。

 さっそくネフィス家に遊びに行こう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る