第60話 第4王子視点(4)

 「第4王子、更に予定外の事が起きました」


 せっかく人が休憩していると言うのに、今度は何だというのか。


 「何事だ」


 「予定より半日ほど早くダンジョンの入り口が開通し、数名の教師と生徒が救援に向かったとの事。このままでは彼らが自力で脱出してしまいます」


 「つまり?」


 「当初の予定では、王子による救出劇をより劇的なものにする為に、生徒たちに数名の死者が出てからの救出を演出する予定でしたが、活躍の場を奪われてからでは意味がありません。直ぐにダンジョンに向かいましょう」


 「先ほど言っていた追加のモンスター達はどうなったのだ?」


 「数体のAランクは回収させます。我々と接敵したら厄介ですからね。残りは生徒たちの足止めに使いましょう。そこで数人亡き者にしてくれれば御の字ですが」


 「………全てのモンスターを放出して、ダンジョン内に閉じ込めた奴らと救出に向かった奴らを全滅させてから、モンスターを回収すれば安全に潜れるのでは無いか?」


 「王子。我々の目的を忘れてはいませんか?誰も救出出来ませんでしたでは意味がありません」


 「チッ、そうだったな。仕方ない、ダンジョンに潜伏している奴らに今から我々が潜る事を伝えろ。Aランクと、それからBランクの数も減らさせろよ。万が一俺に傷でも付いたら国の損失だからな」


 「まさに、王子の仰る通りですね。その様に伝えます」


 良い返事だ。

 騎士に扮した同士とやらが俺から離れて念話で仲間に連絡を取り始めた。

 もう少し休憩したかったが仕方ない、俺もダンジョンに潜る準備をするか。













 「馬鹿だとは聞いていたが、話以上だな。こちらとしては動かしやすくて助かるよ。第4王子様―――」


 何か聞こえた気がした。

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