第47話 「お姉ちゃんたちはそろそろダンジョンのある町に着いた頃かなぁ」

 「お姉ちゃんたちはそろそろダンジョンのある町に着いた頃かなぁ」


 フライングボードの魔道具を応用して、ぷかぷかと浮かぶようになったネッシーぽいぬいぐるみゴーレムのソラを器用に操りながら第一部室の中を天井すれすれの高度で旋回しながら、サリーがぽつりと呟いた。

 演習に使うダンジョンが有る町は馬車で2日の場所だと言っていた。

 コーネリアが出発したのは2日前の朝、今は放課後なので予定通りいけばとっくに到着しているだろう。


 「そうですね。日程を考えるとダンジョンに潜るのは明日からでしょうか?怪我無く無事に帰って来て欲しいですね」


 「それはそうなんだけど……ウインドブレイドを実戦で使えるのが嬉しすぎてお姉ちゃんがやり過ぎないかが心配なんだよね」


 「やり過ぎるとは?はっ?!まさか、モンスターでは満足出来なくて遂には人を―――っ?!」


 「斬らないよ?!アーバンくんはお姉ちゃんを何だと思ってるの?!」


 「冗談ですよ。でも実際やり過ぎるとか無くないですか?昨日少し調べてみましたけど、演習に使う【試しの遺跡】というダンジョンにはスライムやソルジャーアントの様なEランク指定の弱いモンスターしか出ないらしいですよ?コーネリア先輩なら魔法剣なんてなくても一撃で仕留められそうですけど」


 実は2年生になってすぐスライムと戦うという内容の授業があった。

 どんな授業だよ、と思うがそこは異世界。此方の世界では当たり前のようでクラスメイトたちは何の疑問も持たず普通に戦っていた。

 で、そのスライムなのだが、魔法の威力を測定する魔道具で言う所の010程度の火球で消滅する。

 つまり多くの生徒が10歳の時には一撃で仕留めれる程度のモンスターだった。

 剣術での授業でも戦わされたが、身体強化の魔法なども必要なく普通に一撃で倒せた。しかも木剣で。ちょっとしたコツとして体内に透けて見えている赤いコアを狙うと分裂しないので楽だが、コアを破壊しないでも全力で攻撃すればはじけ飛んで再生も分裂もしなかった。

 クラスメイト達は剣術が相変わらず苦手らしく、木剣で倒すのに数十回剣を振っては分裂されたり再生されたりしていたが、コーネリア先輩なら問題なく一撃で倒せるだろう。実践なら木剣じゃ無く鉄剣だろうし、さらに余裕だろう。億が一の時には身体強化の魔法も使えるしな。


 「うーん……具体的にどうって事は無いんだけど」


 「心配しすぎだよ……多分」



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