第45話 「完成を目前に申し訳ないのだが、

「完成を目前に申し訳ないのだが、5年生は1週間ほど遠征の授業で留守にすることになる。最後の調整は戻って来てからで構わないだろうか」


 3度目の起動実験を終了し、ゴーレムから降りて来たコーネリアがそんな話を切り出した。


 「遠征の授業ですか?」


 「馬車で丸2日の場所にある町にダンジョンが有るのだが、そこを使って演習を行うんだ。通称卒業試験と呼ばれる行事さ。とは言っても別にここで酷い結果を出しても卒業できない訳じゃない。卒業後暫くは笑いものにされるらしいけどね」


 「ダンジョン、ですか」


 「ああ、【試しの遺跡】と呼ばれるダンジョンだ。ダンジョンと言っても所詮学生の授業に使われるような場所だ。最後に死者が出たのは40年前、それ以降は重傷者も出ていないらしい。気は抜けないが、この子を実戦で使える初めての場だ、少しワクワクしている」


 そういってコーネリアはウインドブレイドが納められた鞘をポンポンと叩いた。

 その表情は確かに楽しみで仕方ないといった感じだ。


 「武器の持ち込みは自由なんですか?」


 「ああ、学園側が用意する物もあるのでそちらを使うのも自由らしい。ついでに防具や消費アイテム何かも持ち込み自由らしいよ」


 「そうなんですね。ちなみにその遠征はいつからですか?」


 「3日後に出発だ。だからゴーレムの最終調整は戻ってからでも構わないかい?」


 「もちろんです。こう言って良いかはわかりませんが楽しんできてください」


 「ふふ。ああ、存分にこの子を振るってくるよ」


 3日後か……何か防具系の魔法具でも作って渡してあげよう。

 コーネリアの説明を聞く限り心配する必要はなさそうだけど、万が一という事もあるからな。



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 前話にゴーレムの収納の様子を少し加筆しました。

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