第44話 場所はグラウンド。
場所はグラウンド。運動部の部活が終わるのを待っていたので時間は夜8時。周囲はすっかり暗くなっていまっている。
もちろん許可は取っている。
「≪光玉≫」
流石に暗いので光玉の魔法を幾つか周囲に放っておく。
次元収納から各パーツを取り出して、グラウンドに並べる。
胴体を仰向きに寝かせ、腕をくっつける。つなぎ目にゴーレム魔法を使用すると、筋肉代わりのエレメンタルホースの鬣がうにょうにょ動いて連結されていく。
反対の腕と両足、それと頭部も同じようにしてくっつける。
これで完成だ。
「それじゃコーネリア先輩。さっそく乗ってみて下さい」
「うむ。まかせてくれ」
横腹のハッチからコーネリアが中に入る。
ちなみにシートはなくパイロットが立ったまま操縦するようになっている。
コックピットは球体で、フライングボードの魔道具の応用でコックピットは他のパーツからは僅かに離れていて、ゴーレムがどの体勢でも頭が上に来るようになっている。慣れるまで感覚を掴むのが大変そうだが安全面に考慮した結果なので我慢して欲しい。
足を所定の位置に固定し、腰にベルトを装着すると魔力を流せるようになっている。なお盗難防止用にコーネリアと俺以外の魔力には反応しない仕様だ。
『準備完了だ』
ゴーレムに搭載した拡声の魔道具からコーネリアの声が聞こえた。
「それでは起動実験を始めます!まずは立ち上がってみて下さい!」
『了解した』
俺が大声で指示するとコーネリアがその通りに騎士ゴーレムを動かす。
まるで本当に巨大な人間かの様なスムーズな動きで騎士ゴーレムが立ち上がった。
「動かしてみた感想はどうですか?!」
『う~ん……イメージ通りに滑らかに動いているし、この巨体な体躯の割には必要な魔力も少なければ突っかかりも無い。そこは素直に流石だと感心するのだが、このふわふわした感じはどうにかならないだろうか?周囲の景色が流れていくのに自分の体の向きが変わらないのも違和感が凄いのだが』
やっぱりそうだよなぁ。
せめて体の向きと機体の向きが同じになる様にしないと、咄嗟の時上下がどちらかわからなくなる可能性もあるか……あとでコックピット周りの魔法陣を調整しないとな。
「わかりました!他には何かありますか?」
『今のところはそれぐらいかな』
「では次の動作確認をおねがいします!まずは軽く走ってみてください!」
「気になったところは後でレポートにして提出してくれると嬉しいです。本日は以上になります。皆さん、お疲れさまでした」
こうして、深夜まで続いた初めての起動実験は大成功といってよいだろう形で終える事が出来た。
巨大なゴーレムはこのままでは次元収納の入り口に引っ掛かって入れる事が出来ないので一度解体してパーツ毎に次元収納に入れていく。
解体と言っても風魔法で切断するだけだ。くっ付ける時はまたゴーレム魔法を使う。う~ん、実にファンタジーだ。
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