第43話 コーネリア専用機を造り始めて3日目、速攻でコーネリアにバレた。

 コーネリア専用機を造り始めて3日目、速攻でコーネリア本人にバレた。


 「私専用のゴーレムを作るのに私をのけ者にしてどうする」


 と、もっともな意見をもらったので、結局部員全員で制作に取り掛かることになった。


 コーネリア本人に要望を聞いたところ、白銀の鎧に細かな意匠をこらして欲しいとの事。

 昔は板金は職人に頼んでいたのだが、ゴーレム魔法の応用で簡単に板金を形成出来るようになってからは自分で形成していたのだが、細かな意匠となると俺には無理なので、久しぶり職人を頼ろうかと思ったのだが、そこでサリーが手を挙げた。


 彼女は趣味でアクセサリー作りをするらしい。初耳である。

 その関係でそういった細工は得意なのだとか。コーネリアとサリーがデザインの打ち合わせをしている間に俺とチラズで魔法剣の制作に入った。


 5日後、一応完成した魔法剣を次元収納に入れておく。一応というのは完成したゴーレムに合わせて調整が必要だからだ。では何故先に武器から作ったのかというとスケジュールの都合上出来ることからやらないと間に合わないからである。

 と、いうわけで魔法剣の完成翌日、漸くコーネリア専用機のデザイン案が上がってきた。

 元々の完成予想図に大きくテコ入れしているが、サイズなどの変更は無いようにお願いしていたので大まかな部分は同じだ。

 

 俺たちは直ぐに制作に取り掛かった。

 まずジャイアントオーガの骨でゴーレムの、まさしく骨組みを作る。

 それを一度解体して、先ずは右足から造りはじめた。

 ジャイアントオーガの骨で出来た素体にエレメントホースの鬣で筋肉を付けて行く。この時もゴーレム魔法を応用するのだが、うにょうにょ動いて若干気持ち悪い。

 そしてその上から板金でカバーをする。意匠はまだこなされていない。ただの薄い金属板だ。


 右脚が完成したのは10日後、その後同じように左脚、右腕、左腕、胴体、頭部の順に制作していく。


 全てのパーツが完成したのは2カ月後、これなら十分にコーネリアの卒業までに間に合いそうだ。


 と、安心したのだがここからが大変だった。


 サリーが描き起こした鎧の細かな意匠のデザイン。

 比較的細かくない足でさえ片脚に20日掛かった。このままでは間に合わなくなる可能性が出て来たので、左脚をサリーに任せ、同時進行で俺とチラズが右腕の意匠を担当したのだが、しんどい。凄く。すんごく細かいのだ。ゴーレム魔法の応用では再現出来ない程に細かいので手彫りだ。ちなみにコーネリア本人は細かい作業は苦手なのだそうで、主に力仕事担当だ。最近は俺が教えている事もあり、身体強化の魔法も以前より遥かに上手く使えるようになっているので、それは助かっている。

 サリーが左脚を24日で完成させたのに対して、俺とチラズは二人がかりで右腕を完成させるのに30日掛かった。

 胴体はサリーに任せ、俺とチラズは左腕に取り掛かる。


 ようやく頭部が完成したのは更に20日過ぎた頃だった。


 コーネリアの卒業まで1ケ月と少し。何とか間に合いそうだ。

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