第42話 今の俺には作りたいものがある。

 今の俺には作りたいものがある。

 それがコーネリア専用機ゴーレムだ。

 ん?テオがあるだろうって?

 チッチッチ、そうじゃないんだなぁ。

 人が騎乗するタイプのゴーレム、そのコーネリア専用機だ。


 自分の愛機すらまだ作れていないのに何故コーネリア専用機かというと、彼女がもうすぐこの学園を卒業してしまうからだ。

 卒業祝いにプレゼントしてあげたいのだ。

 女性への卒業祝いがゴーレムで良いのかとも考えたのだが、コーネリアなら喜んでくれる気がするし、俺らしくて良いと思ったのだ。

 ただ俺が作りたいだけというのもある。


 制作に踏み切ったのには他にも理由がある。

 透過の魔道具が完成したのだ。

 これは3年掛けてコツコツ制作していたものだ。

 類似する魔道具はおろか魔法すら存在しなかったのでかなり苦労した。


 決してお風呂を覗く為に作ったわけでは無い(出来ないとは言わない)


 これを騎乗するタイプのゴーレムに組み込めば疑似全天周囲モニターの出来上がりだ。遠見の魔道具と組み合わせてズーム機能も搭載可能だ。索敵用のレーダーの制作が間に合わなかったが、コーネリア専用機に関してだけは元々雰囲気作りの為に設置する予定は無かったので良しとしよう。

 というのもコーネリア専用機はロボットというよりも巨大な騎士をイメージして創る予定だからだ。


 素材に関しては木に変わるものが見つかった。ジャイアントオーガというモンスターの骨をゴーレムの骨格として使い、エレメンタルホースというモンスターのたてがみを疑似的な筋肉に見立てると、今までとは比べ物にならない程スムーズに動かせるし、稼働に必要な魔力が少なくて済むのも魅力的だ。ゴーレムは巨体になればなるほど必要な魔力が増えるので人が騎乗できるほどの大きさにしようと思うとかなりの魔力が必要になるのだが、これらの素材を使えばそれこそ小型ゴーレムたちと同程度の少ない魔力で済むのだ。またどちらもAランクの魔物の素材だけあってかなりの強度もある。その分値段もかなりのものだが、次元収納の魔道具が思ったより好評のようで、信じられないぐらいのお金が入ってきたのでそこから出した。

 エレメンタルホースの鬣を覆うのに使うのは、普通の板金を魔道具化したものを使用する。腕、脚、胴、頭、それぞれに硬化魔法の効果を持たせる予定だ。


 完成予想図通りにいくと全長4メートルになる予定だ。

 流石にそれだけ大きいと屋上の第2部室でも作れないので、パーツごとに作って次元収納の魔道具に収納したあと、グラウンドを借りてそこで組み立てる予定だ。


 武器にはコーネリアの好きな魔法剣を用意する。こっちもとっておきだ。

 雷属性の魔法剣。

 試しに小型ゴーレム用に試作品を作ってみたが中々上手く出来た。

 風の魔法剣が斬撃力の強化なのに対して、こちらは焼き切る感じだ。

 魔力を流すと青白く光り、バチバチと電気が跳ねるのがお気に入りポイントだ。


 正直コーネリア先輩の卒業に間に合うか不安だが、頑張って間に合わせたい。

 

 そのため、サリーとチラズにも協力をお願いしている。

 一応コーネリアにはサプライズするために秘密にしてあるが、デカいし掛かり切りになるので隠し通すのは無理だろうなと思っている。

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