第41話 「ああ!?ボクのドラゴレイムがぁ……」

 「ああ!?ボクのドラゴレイムがぁ……」


 勝負は俺が操るツヴァイの圧勝だった。

 質量によるハンデはあったものの、チラズの練度の低さが浮き彫りになった形だ。一緒にゴーレムで遊べる友達がいなかったのが響いたのだろう。これからいっぱい遊んで腕を磨いて欲しい。

 ちょっと損傷してしまったドラゴレイムをその場で修繕し第二試合を行う。

 ちなみにこれはゴーレムの特徴なのだが、魔力を注ぐことで欠損を簡単に直せる。ビバファンタジー。


 第二試合はコーネリアの騎士ゴーレムVSチラズのドラゴレイムだ。

 騎士ゴーレムの大きさも50cmとドラゴレイムに比べると小さめだが、実力を考えると間違えなくコーネリアが勝つだろう。


 「そういえば、コーネリア先輩のゴーレムには名前を付けないんですか?」


 「ん?いや、名前なら既につけてあるよ。テオだ」


 テオ。確か200年以上昔に活躍した伝説の剣士の名前だったかな?単身で500を超える魔物の群れを押し返したとか、闘技場で10年連続優勝したとか、そんな感じの逸話を聞いたことが有る。


 「英雄テオの名前からとったんですね。良いと思います」


 チラズが褒めるとコーネリアは満足そうに云々と頷いている。


 ここで改めて騎士ゴーレムことテオの容姿について説明しよう。

 勇者を彷彿とさせる青い鎧に赤いマント。マントは対風の魔道具になっていて本体にも影響を与える。元々ゴーレムには耐火の効果を持たせているのでそれと合わせて二つの属性に耐性がある事になる。

 テオには現在盾を持たせている。此方は魔道具では無くミスリル製だ。魔道具でもなく、ゴーレムの一部でもないのでミスリルで問題ない。魔法に耐性が有るので出力を抑えた魔法剣の攻撃ならある程度耐えれる代物だ。これは10倍になった部費から捻出した。……まぁ既に赤字なんだけどね。


 「さぁいつでも良いぞ!かかって来いチラズ君!」


 「はい!」


 開始早々にドラゴレイムが胸部から炎の渦を吐き出した。

 テオは一直線に突っ込むと、その炎を剣で真っ二つに切り裂いた。


 「ええ?!炎を斬るなんてアリですか?!」


 「ふふ!テオの剣も魔法剣にして貰っているのさ」


 そう言えばそうだった。テオの何か格好いい剣も風の魔法剣にしたのだった。

 ……コーネリア用の剣を作った後だったのであまり喜んでくれなかったのが悔しい。今度炎の魔法剣とか雷の魔法剣とかも作ってプレゼントしようかな。美女を喜ばせたいのは男の性なのだ。

 サリーには何を作ってあげようかな。


 そんな事を考えているとコーネリアとチラズのゴーレム対決はあっと言う間に終結していた。

 結果は予想通り、コーネリアの圧勝だった。

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