第39話 「ふ~ん♪ふんふんふん♪ふふっふ~ん♪」
「ふ~ん♪ふんふんふん♪ふふっふ~ん♪」
部室では上機嫌なコーネリアが鼻歌混じりに魔法剣の手入れをしている。
ここで少し魔法剣の説明をしよう。
剣自体はコーネリアが用意したもので、そこそこ名の知れた名工の一振りらしい。
魔道具にすることを考慮しなければミスリル製の剣が一番丈夫で切れ味も出るのだが、ミスリルはあまり魔道具に適していない(発動に必要な魔力量が跳ね上がる)ので今回は鉄製のロングソードを使用したいと言ったところ、この剣を持ってきた。ちなみに実家から送って貰ったわけでは無く、彼女の寮の部屋から持ってきたので、剣の制作の依頼を引き受けた当日に素体となる剣を預かった。
一体彼女の部屋はどんな感じになっているのか、ちょっと見てみたい気がする。
魔法剣は1時間ほどで完成した。
魔力を流している間、風の刃を纏う仕様で、注ぐ魔力量を増やすと切れ味も増す。とは言っても当然限界もある。
試しに最大魔力で剣を振ってみたところ鋼鉄の塊が豆腐の様に切れたのでヤバイ代物なのは間違いないだろう。ただ、これは俺が試した時の話で、コーネリアに試して貰ったときは、剣が弾き返されていた。コーネリアはむくれていたが、刃こぼれはしてい無いようで一安心だ。
コーネリアはこの魔法剣をウインドブレイドと名付け大層大事にしてくれているようだ。
そんなコーネリアを横目に、俺はチラズと彼用のロボットタイプのゴーレムの制作に取り掛かっていた。
デザインの好みを聞くとスーパー系のロボットが好みの様だ。俺はどちらかというとリアル系のロボットが好きなのだが、スーパー系も嗜んでいるので前世で培ったデザイン案を次々提示し、それをチラズに精査してもらっている。
「胸にドラゴンの顔を模したパーツを付けるのはどう?」
「良いですね。色は……赤かな」
「全体的に赤を基調にする?」
「いえ、ドラゴンの部分だけで。他は黒っぽい感じで」
「良いね。差し色に金色を入れるのは?」
「おお!アリですね!カッコ良さそう」
「武器は大剣かな」
「大斧とかどうですか?」
「う~ん、斧かぁ……ちょっとカッコイイデザインが思いつかないなぁ」
「じゃあハンマーとか?」
「アリと言えばアリだけど、やっぱ剣が一番無難じゃない?」
「でもアーバン先輩やコーネリア部長のゴーレムと武器が被りますよね?特別感が欲しいと言うか――」
「俺のゴーレムやコーネリア先輩のゴーレムが持ってるのは片手剣だから、両手剣にすれば差別化は出来るんじゃない?」
「状況に応じて持ち替えるんじゃ駄目ですか?」
「それだ!武器以外にも換装パーツとか作りたいな」
「例えばどんなですか?」
「ジェットパックとか?」
「じぇっとぱっく?」
こうして俺たちの熱いロボトークは続いた。
そんな部室の片隅ではサリーがソラの上でシェルを抱えてうたた寝をしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます