第35話 実に残念だ。
実に残念だ。どうもコーネリアが気に入っていたのは剣の方だったらしい。ゴーレム本体は普通の甲冑で良いのではと言われてしまった。
ロボット好きの仲間が欲しいです。
と、いう事でロボットタイプは俺の手元に戻ってきた。そしてコーネリアには勇者っぽい鎧を着た感じの騎士っぽいゴーレムをプレゼントした。
ロボットの時の数倍喜んでたよ。ちくせう。
屋上に増築された部室の他に、その前の屋上の空いたスペースも使って良いという事だったので、最近は良くそこでコーネリアとゴーレムで遊んでいる。
コーネリアは剣術ならゴーレムでもそこそこ楽しめるらしく、木剣を持ってチラチラこちらの様子を窺ってくる回数が減った――気がする。
入学から2年がたった。
俺は3年生に、サリーは4年生、コーネリアは5年生、今年で卒業だ。
そうそう、魔道具研究部に新入部員が殺到した。それも30人も。……あやしい。一昨年は俺1人、去年は0人だったのに。しかもその多くが公爵家や侯爵家の三男や四男、または同じぐらいの家格の令嬢だった。
流石に部室に入りきらないという言い訳の元、簡単な入部テストを受けて貰った。
内容は火炎玉の魔道具の魔法陣を描けというモノ。しかも見本を見ながらで構わないという難易度の低さだ。制作に必要な材料はコチラで用意した。
で、2時間かけて魔法陣を描きあげる事が出来たのが6人。発動出来たのが1人という散々な結果だった。
という訳で今年の新入部員は結局1人だけだった。
チラズ=ノート。濃い緑色の髪を目元まで伸ばした幸薄そうな彼は侯爵家の五男坊なのだそうだ。親に魔道具研究部に入部するように言われたらしい。理由は聞いていないとのこと。チラズ自身魔道具は好きな方で(玩具として)、他に入りたい部活もなかったので問題ないらしい。
そんなことより、このチラズ君。非常に見どころがある。
彼はゴーレムが好きだったのだが、彼が友達と遊ぶ年頃になった頃は魔道具玩具の流行りはゴーレムからフライングボードに変わっており、殆ど遊ぶ機会が無かったらしい。そんな彼に部室に置いてあるゴーレムを見せたところ、彼の目は輝いていた。
し・か・も!しかもである。どれが一番恰好良いと思うと訊ねたところ迷うことなくロボットタイプのゴーレムを指名したのだ。
「騎士っぽいのもカッコイイと思うけど、こっちのは今までに見た事のないカッコよさがあって好きだな」
との事。
良い!良いぞチラズ君!!キミは最高だ!!
コーネリアが卒業してしまうと遊び相手がいなくなって寂しくなるなと思っていたところだったので本当にうれしい。サリーはゴーレムで戦ってくれないし。
チラズに俺の夢を熱く語ったところ、自分もいつかゴーレムに乗り込んでみたいと楽しそうに同意してくれた。これはますますロボットの完成を急がねば!
その前にチラズ用の小型のロボットタイプのゴーレムを作ってあげよう。
完成したら俺のロボットタイプのゴーレムと戦わせて遊ぶのだ!
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