第34話 2カ月後、予定通り屋上に第2部室が出来上がっていた。

 2カ月後、予定通り屋上に第2部室が出来上がっていた。

 実家の屋敷にある工房の倍ぐらいの広さがある。これならかなりの大きさのゴーレムが作れそうで、アーバン君は満足である。


 ちなみに、この2か月間の出来事を簡単に説明すると、第5王子が興味を持っていた耐火の魔道具。あれは王族に献上するという形にした。第4王子の事で手間を掛けさせてしまった詫びと、王族の心象を良くしておくためだ。

 まぁ、今更な気がするが。

 魔道具研究部としての成果としては、ぬいぐるみゴーレムが2体とロボット型(小型)ゴーレムが1体増えた事だろうか。

 

 ぬいぐるみはどちらも1メートルほどある。既存のぬいぐるみにゴーレム化の魔道具を埋め込むだけなので簡単に完成した。片方は青いネッシーの様な姿のぬいぐるみ。何を模しているのかサリーに訊ねたが知らないらしい。コーネリアがドラゴン種のモンスターじゃないかと言ってサリーに睨まれていた。

 もひとつはユニコーン。かなりデフォルメされた容姿でずんぐりむっくりしている。白いボディに映える青い瞳が特徴的だ。

 どちらもサリーが実家から送って貰ったらしい。

 ネッシーっぽいゴーレムをソラ、ユニコーンのゴーレムをターコイズとなずけて可愛がっている。


 余談だが、4本脚のゴーレムはかなり操作が難しい。実家に置いてある試作4号機君は4脚タイプなのだが、自由に動かせるようになるまで2週間ぐらい掛かった。――のだが、サリーは僅か3日でマスターして、今は良くターコイズの背に跨って移動している。

 ……やっぱりいつかゴーレムで戦ってみたい。


 ロボットタイプの方は前世で見たアニメやらを参考にして作った。まるパクリするのは俺のポリシーに反するので一応オリジナルだ。デザイン的にはまだまだ稚拙だ。

 運動力や記憶力など、明らかに前世を大きく上回る才能を持っているだろうこの体だが、美術的な才能はあまり前世と差異は無いように感じている。要するに自分の思い描くロボットを作るためにはさらなる努力が必要という事だ。

 ちなみに、このロボットタイプのゴーレムのサイズは50cmぐらい。手には何かカッコイイ形の剣(玩具)を持たせている。このゴーレムはコーネリアにウケが良かったので彼女にプレゼントした。近々同サイズのゴーレムをもう1体作って一緒に遊ぼうと約束している。


 それら3体のゴーレムを作った理由としては、部活動の成果物として提出するためだ。第5王子こと生徒会長は気にしなくとも良いと言っていたが、部費と部室を増やして貰ったのだ。周りを説得する目に見えた成果物が有った方が良いだろう。


 …嘘です。ただの建前です。ぬいぐるみゴーレムはサリーに「おねがい」と上目遣いで頼まれたので作りました。あんなの反則です。男なら誰だって断れません。

 ロボットタイプの方は単純に趣味で作ったのだが、コーネリアが興味を持ってくれたのは嬉しい誤算だ。このまま少しづつ同好の士を増やすのだ!コーネリア、キミにはその足掛かりになって貰おう!がははははは。

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