第31話 「おいグランシェルド。これは一体なんだ?」

 「おいグランシェルド。これは一体なんだ?」


 生徒会に入った翌日の放課後、俺は早速生徒会室で雑用をしていたのだが、そこにセムナントが2枚の紙を見せて来た。


 「部費の増額申請と、部室をもう一部屋使う許可を求める申請書ですね」


 もちろん提出したのは俺だ。

 次元収納で多少スペースが出来たとはいえまだまだ狭い部室だ。どうせならゴーレムの研究をする専用の部室が欲しい。部費は元々が雀の涙なので倍額有ったところで足りないのだが、あればあるだけ良いのは確かなのでとりあえず申請しておいた。


 「記名がお前になっているぞ。魔道具研究部?そんな部活あったか?とにかく却下だ却下」


 セムナントは申請用紙を丸めてゴミ箱へ投げ込んだ。


 「理由をお聞きしても?」


 「説明するまでもないだろうが。部員は3名。何の実績も無い。それで何でこんな申請が通ると思ったのか、逆に聞きたいぐらいだ」


 そういえば、次元収納の特許は匿名扱いなので魔道具研究部の成果には含まれないのか。こうなったら適当にあと2・3個魔道具を拵えるか?




 生徒会室の掃除、片付け、お茶くみ。そんな事をしながら3日が過ぎた日の事だった。


 「貴様!!一体父上に何を言ったのだ!?」


 生徒会室で俺に詰め寄ってきたのは第4王子こと生徒会長だ。


 「と申しますと?」


 「急に呼び出されたと思ったらお叱りを受けた。今後態度を改めなければ王族の席を外すとまで言われたのだぞ!この俺が!父上に何を吹き込んだのだ貴様は!」


 「ありのままお伝えしただけですよ?第4王子が権力を笠に着て無理矢理生徒会に入れようとして来て困っていますと」


 もちろん次元収納の魔道具の特許を利用した。今後彼の態度が改められないのであれば、王族に使用・販売・製造の許可を出さない可能性もあると。いくら王族とは言え法で決まったそれらを覆すのは難しい筈。また俺が新しく何か魔道具を作る可能性も考慮しなければならないだろうから、無下にはされないと思っていたが、まさか王族からを外すとまで言うとは思っていなかった。本当に実行する気があるのか、ただの脅しかは知らないが。


 「嘘をつくな!たったそれだけで父上が俺に対してあんな事を言う筈がない!貴様が有る事無い事吹き込んだんだろう!!」


 「では、陛下に直接確認なされては如何ですか?態度を改めろと言われても何が悪いのか分からなければ改めようもありませんからね。私に何を言われて、自分は何を改めれば良いのか聞いてみるのが良いとおもいますよ?」


 「……っチ、良いだろう。貴様を処分するのはそれからだ」


 それだけ言うと第4王子は足早に去って行った。

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