第29話 次元収納の魔道具の制作を実演して見せた後、

 次元収納の魔道具の制作を実演して見せた後、魔道具師たちに質問攻めにされ、解放されたのは深夜だった。

 俺と父は城で一泊し、翌早朝に城を出た。


 帰りの馬車の中で父は大層ご機嫌だった。

 上手くいけば陞爵もあり得るらしい。


 この国の貴族は魔道具で魔法を使うのを嫌う傾向にあったので無いのか?なんで戦闘以外で使う魔道具には食いつくんだろう。意味が分からん。


 俺は学園の前で降車し、父はそのまま屋敷に戻って行った。

 色々と持たされた土産をカミーユに預けて一旦寮へと戻る。

 今日は無性に疲れた。肉体的には何ともないが、精神的にだるい。

 俺はさっさと眠りについた。


 翌日、学園に登校するとどうもクラスメイトの視線が気になった。

 こっちを見ながらヒソヒソと何やら話している。入学当初はこんな感じの事も多かったが最近では無くなっていた光景だ。

 何があったのかと考えているとクラスメイトの一人が話しかけて来た。


 「グランシェルド。王城に呼ばれたと言うのは本当かい?」


 何で知っているんだろう?特許の件は一部の上位貴族にしか知られてないはず……

 まぁ、バレているなら隠してもしょうがないだろう。


 「本当だよ。昨日陛下と謁見して来た」


 俺の答えにクラス中がざわつく。


 「何でアンタなんかが陛下と謁見できるのよ?!」


 食って掛かってきたのはケイトだ。ケイトに絡まれるのも久しぶりだな。

 というか、呼ばれた理由までは知られてないのか。


 「悪いけど、理由は言えない」


 「な――っ?!伯爵家如きが生意気に!」


 「学園にいる間は爵位は関係無いって、どっかの誰かが言っていたよ?」


 クラス分けの試験の日にキーン何某に言われた台詞だ。そう言えば入学して一度も見ていないが元気にしているかなキーン君は。


 「それは……」


 例え建前だと分かっていても、学園側がそう明言している以上、流石に教室で、それも多くの生徒の目がある前でそれを否定する事は出来ないのだろう、ケイトが口ごもる。

 

 その時、教室の入り口から良く響く男性の声が聞こえた。


 「アーバン=グランシェルドはいるか!第4王子様が話があるそうだ!!」


 声のした方に目を向けると、この間俺を生徒会に誘いに来たいけ好かない金髪優男が居て、その隣には一人他の生徒とは異なる金糸で刺繍が施された制服を身に纏った、これまた金髪の男子生徒がいた。恐らく彼が第4王子なのだろう。その後ろにも彼の取り巻きなのか何人かの見知らぬ生徒がいるのが確認できる。


 何なんだよ、次から次へと。

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