第24話 「それにしても、この部室も随分狭くなってきたね」
「それにしても、この部室も随分狭くなってきたね」
「すみません」
1年に1度の長期休暇で俺は実家に戻ったのだが、その際に工房からゴーレム制作に必要な物をあれこれ持ち込んだのだ。勿論学園側から許可が得られたものに限るが。
現在部室は足の踏み場こそあるが、という感じだ。
ちなみに、魔道具研究部には新入生は入っていないので今年も3人での活動になる。
「先生にお願いして部室を広くしてもらえないの?」
サリーがコーネリアに訊ねる。
「それらの決定は生徒会を通す事になるね。アーバン君が生徒会に加入してくれていればもしかしたら申請が通ったかもね。ただ加入するどころか怒らせてしまっていたから、絶望的かな」
「重ね重ね、すみません」
「先輩たちの持ち込んだ魔道具はアーバン君の実家で預かって貰えるかな?キミが卒業するときに元通りにすればよいだろう」
「わかりました。メイドに配送の手続きを頼んでおきます」
「頼むよ。後は、流石に部費で買った魔道具を持ち出すのはまずいね、学校の備品だからね」
「次元収納の魔法が魔道具化出来たら簡単に片づけられるのにね」
「!?」
サリーの発言に衝撃を受けた。
出来る。
昔、ゴーレムの魔力源として魔石を使おうとした時に、直接装備させるのにはデカすぎるから次元収納の魔法に納めてそこから動力パイプだけを引っ張ってこようと考えた事があった。その時は上手くいかなかったのだが、アレは常時動力パイプを出しておくための次元の裂け目をキープするのが難しかっただけだ、しかも2年も前の話だ。あれから得た知識や技術を使えば不可能ではない気がする。
ちなみに魔石とは魔物が落とす石……では無く鉱石だ。魔力を貯めておける特性があるのだが、3メートル級の魔石で人間1人分の魔力しか貯めておけないので、現在は余り使い道がないとされている。
俺としたことが、ゴーレムと関係のないところで魔道具を作るという発想が抜けてしまっていた。
気づかせてくれたサリーに感謝だ。
俺はさっそく頭の中で簡易的な魔法陣の設計図をひく。
「確かにそれが出来たら画期的だな。仮にその魔道具の制作に成功した魔道具師があらわれたら、孫の代まで遊んで暮らせる額の富が得られるだろうね」
コーネリアが何か言っているが、魔法陣を考えるのに集中していた俺にはBGMでしかなく、言葉として耳に入っては来なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます