第20話 「アーバン=グランシェルド!俺と勝負しろ!!」

 「アーバン=グランシェルド!俺と勝負しろ!!」


 放課後、いつもの様に部室に向かっていたところ、旧校舎の前で突然木剣を構えた男子生徒にそんな事を言われた。

 実は最近この手の手合いが多い。


 切っ掛けは剣術の授業だ。新入生の剣術の授業はまず基礎体力づくりと素振りによる型固めから入り、半年が過ぎたころから同級生との手合わせが加わったのだが、何故かそこでクラスメイトの殆どが俺を対戦相手に指名して来たのだ。教師が面白がって許可を出したせいで、俺はその全員と順番に対戦する事になった。

 クラスメイトたちは何というか、凄く弱かった。教師に言われて身体強化の魔法は無しでの手合わせだったのだが、クラス分けの試験の時に見せられたお遊戯チャンバラから殆ど進歩していなかったのだ。

 かくいう俺も最近は授業以外で剣を握っていないのでなまってしまっている気がするが。


 「どうしたグランシェルド!俺に負けるのが怖いのか!?」


 どうしたものかと考えていると名前も覚えていないその男子生徒が煽ってきた。

 断っても何処まで付きまとってきそうな雰囲気だったので(実際に何度か経験済み)仕方なく応じる。


 「手合わせは構わないけど、俺、木剣は持ち歩いていないけど?」


 俺の返答を聞いた男子生徒はニヤリと笑った。


 「言質は取ったぞ?勝負を承諾したな?そして剣士なのに木剣を持ち歩いていないお前が悪い!お前は素手で戦うんだな!!」


 男子生徒は地面を蹴り、木剣を振りかざしながら勢いよくこちらに駆けて来た。


 どういう理屈だよ。というか剣士じゃないが?ただの学生だが?まぁ良いや、さっさと終わらせよう。


 「≪身体強化≫」 


 俺は身体強化の魔法を掛けて素手で木剣を受け止めた。


 「―――は?」


 呆気に取られている男子生徒から木剣を取り上げてから身体強化の魔法を解除し、奪った木剣で彼の横腹を薙ぎ払う。もちろんちゃんと手加減はしている。


 「がっは――」


 胃液を飛散させながら男子生徒が倒れ、その場でもだえ苦しんでいる。


 最近気づいたのだが、俺は強い部類に入るらしい。アーバン君はただのエロガキではなかったようだ。やればできる子だぞアーバン君。

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