第15話 「魔法の威力を上げる魔道具を使用したんじゃないか?」

 「魔法の威力を上げる魔道具を使用したんじゃないか?」


 「僕は魔道具について多少詳しいけど、そんな魔道具は聞いた事がないな」


 「違法な魔法薬に手を出したとか?」


 「一時的に魔法の威力を上げる薬は聞いた事があるけど、使うと廃人になってしまうらしい」


 「教師に裏金を渡しておいて数字を弄らせたんじゃないか?」


 「あの時クリスタルに近づいた人間はいなかったぞ?流石に近づきもしないでそんな事出来るか?」


 「水魔法にだけ反応する仕掛けを事前に施してたんじゃないか?実際、水魔法何て使う奴他に居なかったし」


 「万が一使われてたら直ぐにバレるじゃないか」


 「でも使われなかったじゃないか」


 「それは偶々だろう?それなら列の最前列に並んで、理由を付けてクリスタルを交換させた方が確実だろう?アーバンは列の最後尾にいたぞ」


 「そうだな。むしろ最後尾にいたのに理由があるんじゃないか?」


 「仕掛けに時間がかかるとか?」


 「「「「……う~ん……」」」」


 昼休み、クラスメイト達は集まって、どうやって魔法の威力を計る魔道具で高得点をだすか話し合っている。というか、俺がどんな不正を働いたのかの話し合いかな。

 

 それと、彼らの会話を聞いていて思ったのは、A組の生徒は俺と同日にクラス分けの試験を受けた人間が多いということだ。王都の貴族と地方貴族とでは成績に差が出やすいのかもしれない。


 そんなクラスメイトたちを横目に、俺は今朝配られたプリントに目を通していた。


 【部活動一覧】

 プリントの見出しにはそう書かれていた。

 別に部活の加入は強制ではないらしいので、俺は入る気はなかった。

 部活をする時間があるならゴーレムの研究に時間を充てたい。流石に寮の自室でゴーレム作りは難しそうだが、魔法陣の研究ぐらいならできるだろう。外出許可が取れれば街に出て本屋や図書館を巡ってみても良いかもしれない。


 (待てよ?ゴーレムか……)


 ひょっとしてゴーレム部なんて部活が有るかも知れない。そんな事を考えながら部活動一覧に目を通していく。

 結果から先に言うと、ゴーレム部なんて部活動は無かった。


 在籍する生徒が多い順に、


 魔法部

 演劇部

 武術部

 馬術部

 淑女部

 ダンス部

 吹奏楽部

 歴史研究部

 娯楽部

 紳士部

 製菓部

 文芸部

 手芸部

 ……

 …


 下まで読んでいくと気になる部活を発見した。

 

 魔道具研究部


 ゴーレムは、魔法でその場に創り出す魔法タイプと、事前に作って置き魔力を注ぐだけで動かせる魔道具タイプに分けられる。そして俺がハマっているのは専ら後者、つまり魔道具タイプのゴーレムなのである。


 俺はプリントを魔道具研究部の紹介が書かれているページまで捲った。


 魔道具研究部。

 在籍部員(2)顧問(空席(必要に応じて手の空いている教師が対応します))

 活動内容。

  皆さんは子供の頃にゴーレムやフライングボードで遊びませんでしたか?

  それらは魔道具と呼ばれる物の一種だという事はご存じの事とおもいます。

  我々の活動内容はそれらの魔道具を研究し、レポートを提出する事です。

  皆さんも魔道具研究部で一緒に魔道具の研究をしましょう。


 これは……駄目な匂いしかしない。

 活動内容がやたらとアバウトに書かれているが、これはただ玩具で遊んでいるだけでは?しかも顧問もいないし。

 しかし、ゴーレムで遊ぶか―――。

 俺は幼少期は完全にぼっちだったから、他の令息とゴーレムで遊んだことなどないんだよな。

 せっかく作ってもお披露目の場が無いのは悲しい。もしかしたらゴーレムの開発・改造に興味を持ってくれるかも。そうしたら同士が出来るぞ。もし駄目でも部活は強制では無いのだし止めたら良いぐらいの気持ちで入部してみるのもありか。


 俺は入部届に必要事項を記入して提出した。

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