第11話 礼儀作法の試験は問題なく終了し、

 礼儀作法の試験は問題なく終了し、俺は屋敷に戻って来ていた。


 魔法の試験では少々やり過ぎてしまったが、あくまでクラス分けの為の試験、問題なかったと思いたい。

 というか、ひょっとしたら俺は魔法の才能が有るのかもしれない。オリビエ先生が言っていた台詞は褒めて伸ばす方針なのでは無く本心だったのかも?

 ……まぁ、己惚れるのもほどほどにしておこう。



 クラス分けの試験から1ケ月。工房でせっせとゴーレムの研究に勤しんでいると、ノックもせずに父が勢い良くドアを開けて入ってきた。


 「凄いぞアーバン!!流石私の子だ!!」


 「ノックぐらいして下さい。それで何の事ですか?父上」


 マナーの授業の一環ということで両親にも敬語を使うようになった。その言葉遣いで父に言葉の真意を問う。


 「先ほど王立学園から連絡があった!アーバンが今年の新入生代表に選ばれたそうだ!毎年新入生代表はクラス分けの試験で最も良い成績を収めた者に任せられるのだが、公爵家や侯爵家の子息令嬢達を抑えうちの子が選ばれるとは、これは大変誉れ高い事だ!良くやったぞ!!」


 クラス分けの試験の時の事を思い出す。

 一般教養や礼儀作法は基礎的な事だけだったので、点数に開きが出るとは考えにくい。剣術は、採点方法がそもそも公開されていないので爵位で忖度することもあるだろうが、それでも点差は開きにくいだろう。とすれば……


 (殆ど魔法の試験の点数で決まったんだろうな)


 魔法の試験も、他の生徒たちの点数に大きな開きは無かった。唯一俺の点数だけがおかしかったのだ。

 加減の調整に失敗したのは仕方ない、甘んじて新入生代表とやらを受け入れよう。


 「それで、新入生代表とは何をするのですか?」


 前世だと入学式の日に新入生代表の挨拶、みたいなのが有ったようなきがするが。


 「ふむ、入学式の日に新入生代表の挨拶をするのだ。これが台本だ。空白の部分だけ自分で考えておいてくれとの事だ」


 渡された台本は原稿用紙1枚分程度。殆どが定型文で途中と最後の部分が空欄になっている。


 「わかりました。考えておきます」


 「うむ。しっかりとな!それじゃ私は仕事が残っているので書斎に戻る。そうだ、試験で最も優秀な成績を収めたご褒美をあげないとな!何が良い、何でも言って見なさい」


 ご褒美?そう言えば、魔法の試験でやらかしてしまってすっかり忘れていたが、魔法の試験で使われた魔法の威力を計測するクリスタル型の魔道具が欲しいと思っていたんだった。


 「それでは1つ欲しい物が。実は―――」


 こうして俺は魔法の威力を計測する魔道具を手に入れる事に成功した。

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