第7話 王立学園への入学を2カ月後に控えたある日、

 王立学園への入学を2カ月後に控えたある日、俺はクラス分けの試験を受ける為に一足早く学園を訪れていた。ちなみに、友はメイドが一人。カミーユという俺が7歳の誕生日の時にお尻を触って気絶する原因を作ってしまったメイドだ。


 「グランシェルド伯爵家嫡男、アーバン=グランシェルド様ですね」


 受付で俺の名前が呼ばれると、周囲がざわつき始めた。何故だ?

 俺が不思議に思っているとぽっちゃり体系の男子が俺に話しかけて来た。


 「お前がアーバンか?ふ~ん、実在したんだな。見た目も不細工過ぎて表に出せないって程じゃねーし。とすれば出来が悪すぎて表に出すのが恥ずかしいってのが正解か~?ぎゃはははは」


 ぽっちゃり系男子はニヤニヤと見下すような態度だ。


 「そういう君はどちら様で?」


 「俺様はギュンター子爵家の嫡男、キーン=ギュンター様だ。優秀な俺様が話しかけてやってんだから感謝して欲しいね?」


 「子爵?」


 「おっと、爵位は関係ねぇぞ?この学園では爵位に関係無く生徒はみな平等らしいからな」


 そんな建前を信じる何て、まだまだ子供だなぁ。まぁ、どう見ても子供だけど。


 「まだ入学して無いけど?」


 俺の指摘にキーン君の顔が目に見えて真っ赤になる。


 「う、うるせぇ!これから入学するんだから一緒だろうが!親の爵位しかえばれるものが無い無能野郎が!」


 「一緒かな?少なくとも後2か月は僕たちは学園の生徒じゃないんだ、正式にギュンター家の方に抗議を入れたら、君の立場もまずいんじゃないかな?」


 「て、てめぇ!にゅ、入学したら覚えておけよ!!」


 キーン君は捨て台詞を吐いて逃げるように走り去っていった。


 「カミーユ、さっきの彼とのやり取りを記録して、後で父上に提出しておいてくれる?」


 「かしこまりました」


 一応貴族としての体裁もあるので面倒だが報告は必要だろう。

 それにしても、キーン君の話を鑑みるにどうも俺の良くない噂が出回っている様だ。思い返せば前世の記憶が蘇ってから今日まで社交の場には一切出ていない。両親からもたまに誘われるぐらいで、ゴーレムの研究があるからと言えばそれ以上誘われなかったし。記憶が戻る前の俺も、社交の場を嫌っていた。感情的には自分より偉い立場の人間が多い場所が嫌で屋敷でメイドハーレムを楽しんでいた。どっちもどっちだぞ、アーバン君、前世君。

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