第4話 「ただいまアーバン!
「ただいまアーバン!折角の誕生日だと言うのに祝えなくてすまなかったな」
「ただいまアーバンちゃん!7歳の誕生日おめでとう。本当は当日にお祝いして上げたいの、毎年出来なくてごめんなさいねぇ」
俺の誕生日の翌日の昼、父エドガー=グランシェルド伯爵と母イングリッド=グランシェルドが帰宅した。建国記念パーティは毎年三日三晩行われる、事前の準備なども有るので実査に両親と会うのは約6日ぶりだ。
「おかえりなさい。父さん。母さん」
俺の頬に両側からキスをしていた両親が、俺の挨拶に驚愕の表情をみせる。
「ど、どうしたんだアーバン。誕生日を祝えなかったから怒っているのか?いつもみたいにパピーと呼びなさい」
「そうよアーバンちゃん。ほらマミーって呼んで、ね?」
アーバンとしての人格も確かに残っているので、この二人の事を両親だと認識できるし、父や母と呼ぶのに抵抗はない。しかし、前世おっさんだったろう俺にはパピーやらマミーやらは流石に恥ずかしいのだ。
「僕も昨日で7歳だよ?さすがにパピーやマミーは恥ずかしいから、これを機に父さん母さんと呼ぼうと思うんだ」
俺は口からでそうになる敬語を必死に抑え込みながら話した。
「しかし、ゴドウィン卿のところの長男は今年11だが、まだパピーと呼んでいたぞ?そんなに急いで大人になる必要はないんじゃないか?」
呼んでいたぞって、もしかして他人の前でって事か?それは貴族としてどうなんだ?
「背伸びをしたい年頃なんだよ。あ、それと誕生日プレゼントありがとう!特にあのゴーレム!すっごく気に入ったよ!!」
必殺、話題すり替えの術!このまま毎日父さん母さんと呼べば向こうも自然と慣れるだろう。ちなみに他の誕生日プレゼントはまだ見ていない。ほぼ丸一日ゴーレムに夢中だったのである。
「ゴーレム?ああ、あの玩具か?意外だったな、王都の貴族令息の間で流行っていると聞いたので誕生日プレゼントに混ぜてみたが、アーバンは興味なさそうだと思っていたんだが」
「そうね。メイドを増やすか、それともそろそろ奴隷を買い与えるのもありかもしれないと話ていたところだったのよ?」
怖いよ。息子の誕生日奴隷を買い与える親が何処にいるだよ。あ、この世界の貴族の間ではそんなに珍しくないんだった。怖いよ貴族。
「メイドは足りてるかな。それに奴隷は別にいらない。それよりも父さん、ゴーレムに関する書物があれば欲しいんだけど」
「そんなに気に入ったのか?良し、近日中に取り寄せてやろう」
「わーい!ありがとう父さん!!」
俺はあざとく父に抱き着く。……子供のフリは結構しんどい。いや、フリじゃなくて実際子供なんだけどさ、わーいって……
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