第3話 治癒魔法の効果は絶大なようで、


 

 治癒魔法の効果は絶大なようで、内出血なども治るそうだ。だから脳梗塞などの心配もないらしい。

 ちなみに、治癒魔法の使い手はかなり希少で、使い手が見つかると直ぐに貴族が抱え込むので、平民は中々恩恵に与れないと聞いたことが有る。そんな希少な魔法をこんなくだらない理由で出来た怪我に使わせて申し訳ない。


 それはさておき、今はゴーレムだ。


 「ねぇ、ゴーレムってどうやって動かすの?」


 「まずコアと呼ばれる中心の魔道具に所持者、つまり坊っちゃんの魔力を流し込んで下さい」


 「わかった」


 前世では魔法、魔力なんてものは存在しなかったが、アーバンとして過ごした7年間の記憶はあるし、問題なく魔力を操る事も出来る。

 俺は言われた通りにコアに魔力を送った。すると先ほどまで鈍い赤だった輝きが明るい赤に変わった。

 グゥーンという機動音と共にゴーレムが徐に立ち上がった。


 「おお!」


 俺は感嘆の声を上げる。ゴーレムの立ち上がる姿ははやりどこかロボットを彷彿とさせたからだ。


 「これでこのゴーレムは坊っちゃん専用になりました。後は頭の中でどの様に動くかイメージして命令するだけで、思ったように動かせる筈です。ただ、あまり複雑な命令は不可能かと思われます」


 「へぇ、イメージか………」


 前進するゴーレムを頭の中に思い描き、それからゴーレムに動けと命令してみる。

 すると、ゴーレムはゆっくりと前に歩き始めた。


 「おおっ!!」


 はやり良い!これはすでにロボットと言っても過言じゃないんじゃないか?!


 しかしゴーレムは10メートルほど進んだ先で動かなくなってしまった。


 「へっ?まさかもう魔力切れ?」


 「いえ、魔力の受信範囲の外に出てしまったのでは無いでしょうか?」


 み、短い。たったの10メートルしか動かせないのか。まぁ、子供のおもちゃなら問題ないのか?


 「ねぇ、貴族の令息たちの間で流行っているって言っていたけど、やっぱり戦わせたりするの?」


 可動範囲が10メートルなら、フィールドを設けてその上で戦わせるのがセオリーになりそうだな。場外負け以外にもダウン2回で負けとかのルールを設けて。うん、面白そうだ。


 「そうだと聞いています」


 「いいね、大会とか無いのかな?」


 「ゴーレムの大会ですか?聞いた事は御座いませんが……」


 残念ながら流行っているとは言ってもあくまで子供のおもちゃとしてということらしい。前世と違ってこの世界では子供のおもちゃの大会が開かれる事はほぼ無いようだ。




 それから俺はメイドに話を聞きつつゴーレムで遊び倒した。


 稼働時間はおよそ3時間。魔力を込めればまたすぐに動き出すし他の燃料は必要ないのでかなり燃費が良いと思う。

 複雑な命令は難しいとのことだったが前転や後転や側転。後ろ歩き、反復横跳びなどは行えた。バク転のように人間でも難しい技は用練習といった感じだろうか。


 そんな事を検証していたらいつの間にか日はどっぷりと暮れていた。

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