第3章 ふたりのTURNING POINT 第六話
コロッセオは地上5階建ての造りとなっている、今で言う野球場の様な大きさの造りだ。
ヴィンス・レディ・アスル・バットの
両パーティー共にコロッセオを左周りに探索するが、コロッセオの一階部分の廊下には観客用の屋台がたち並ぶスペースが有る位でさしたる物など無かった。
アルホース『こっちはVIP用入口から当たってみる、兄貴の方は確か闘士の控室がある筈だからソチラを頼む』
ヴィンス『了解だ』
アルホース達は豪華な装飾の施されたドアの前に着いた、此処をくぐれば上級貴族用の個室が列ぶ上階へと繋がる階段がある。
ヴィンス達は闘士の控室へと進んだ、控室とは言え小さなアップ用のグランドとそれを囲む様に長椅子がポツリポツリと並べてあるだけの部屋だった。
アルホース『此方は貴賓室が何部屋か有るが地下へ繋がるような造りではないな、ヴィンスの兄貴の方はどうだい?』
ヴィンス『此方も何も無さそうだな』
バット『ヴィンスさんちょっと待ってくれ!此方の壁から何かの音がする……』
アスル「そっち側なら入れそうなドアが廊下にあった様な…」
ヴィンス達がもう一度廊下へ出てみると確かにバットの言う方向に入れるドアがあった、ドアを開くと其処は事務室的な造りになっていて先程の控室へ向かってドアがあった。
ヴィンス『これか!控室へのドアと見せ掛けた地下への入口の様だな!俺達は先に降りてみる』
ヴィンス組の4人は長い階段を降りきるとT字路を右へと進んだ、壁には等間隔に松明やランタンが固定されてはいるが視界は良くない。
バット『待ってくれ音がした…這いずる音…蛇行、スネークタイプの魔獣が居るデカいぞ!距離15メートル!近づいてくる!』
ヴィンス『一旦引くか!』
レディ『こんな処迄来てそれは無いだろうよぉ、私に任せてアンタ等はさがってな!』
レディは両手を真っ直ぐ伸ばし掌を正面に向けて動きを止めた、その先の方から『ズズズッズズズッ』と常人にも聴こえる程の這いずり音が近づいてきた。
先にある松明の明かりの隅から大きな蛇の頭が浮かび上がってきた。
アスル『で…でかっ!』
頭の大きさだけで人一人分はあろう巨大な蛇が舌を震わせながら此方に向かってきた。
レディ『キレイな鱗だねぇ殺してしまうのが勿体ないねぇ』
白蛇『お褒めに預かり光栄だな』
レディ『お前、私の言葉が解るのかいよぉ?』
白蛇『長く生きていると色々とある、あなた様もその口なのでしょう』
レディ『話が解るなら引きな、私はお前のように美しい魔物は嫌いではない』
白蛇『有難い御言葉痛み入ります、しかし今の私の主はベクター殿です!主の命なら例え敵わぬ相手と解っていても引く訳にはゆかぬのです』
レディ『そうかい、勿体ないねぇ』
白い大蛇はその場でとぐろを巻き頭を高く持ち上げると左右に振りながら威嚇音を鳴らした。
レディは両腕を横に大きく開き「サッ!」と掌を素早く開く、すると左右に振っていた白蛇の大きな頭は急に力が抜けたように床に落ちた。
レディ『終わったよぉ』
白蛇はグッタリとして動かなくなっていた、その場に居た者は何が起きているのか想像はついていたがピリついた空気のレディの前では誰も言葉には出来なかった。
※※※
グッタリとした白蛇の後方の牢屋にメアリージョンが居た、鎖に繋がれグッタリとしているメアリーの横に人影が立っているのがみえる。
ベクター「そこの蛇から連絡が入ったので来てみましたが、いやいや流石はレディ・ポイズン!大蛇風情では足止めにもなりませんな!」
ヴィンス「メアリーを離せ!」
飛び掛からんとするヴィンスをレディが腕を広げて制止する。
レディ「結界も罠も張ってある筈だぁ、迂闊に突っ込むんじゃないよぉ」
ベクター「クククッ運良く一人でも削れないかと思ってたのですが残念です」
鉄格子を挟んで両者は対峙する、ベクターはメアリーの髪を掴んだまま4人の侵入者達を品定めでもする様にみまわしていた。
ベクター「ほほう…此れは面白い、このまま飛んで逃げようと思ってましたがイリスとムーアのエース級が揃ってお出ましならば話は別です!」
ベクター「良い余興を思い付きました、この娘を返してほしくば闘技場で会いましょう雁首揃えてお越しください」
そう言い残すとベクターはメアリーと共に転移紋の中へと消えていった。
ヴィンス『アルホース組!聴いての通りだ地上に戻る』
ベクターが
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