第六話 スナドリとの闘い

スナドリと戦うまで残り1日になった時。




「12357体目、クリアー!はぁはぁ」




「だいぶ、身体能力は上がってきたな。筋トレも毎日欠かさずしているみたいだし。そろそろ『廻暫』という技の特徴を教えてやる」




 おぉ〜。やっとか。教えてもらうのはありがたいが、もうちょっと早く教えてほしかった......




「『廻暫』は、体と武器を異様なまでに回転させて悪魔の急所を一つ一つ切っていく。回転することで相手のすきに入りやすくなる。高速回転で動きが読めず、避けようとするのはだいぶ困難な技だ。もし攻撃されても回転で相手の攻撃を少しはうながせるから防御技にも最適だ」




 かなり便利な技だな。この技さえあれば、スナドリに勝つこともできるかもな。まあ当てれば....の話だけどな。相手は空にいるから当てるのは大分難しそうだ。




「こういう技っていうのは、習得する奴が一番集中してる時に覚えるからな。まあ頑張れ。ほら、そんなこと言ってたら、もう空にいるぞ」




「え?」




 俺は、空を見上げる。そこにはスナドリが現れていた。




「おい、もう目を合わせるとかやる気まんまんじゃねえかw」




 あ……やべぇ!!!!


 目合わせたら攻撃してくるの忘れてた!


 やべぇ、どうしよう。


 ここは一先ず深呼吸をして気持ちを整えるんだ。


 そしてえ〜っと、手に人を三回書くんだっけ?


 あと素数数えないと……




 そんなこと考えているともう真正面にはスナドリがいた。スナドリはものすごい勢いで突っ込んでくる。こんなのにあたったら死ぬのは確実だな。




 この前は確か、目を合わせただけで体が動かなくなる魔法に罹ったが、今回は大丈夫そうだ。


 ここは一旦、逃げなければ……




「「「グォォォォォ!!!!」」」




 スナドリがでかい口を開けて食べようとしてきた。


 まずい逃げきれない。


 もう戦うしかない!






 俺は長剣を取り出して、スナドリの口を突いた。




「「「グォォォォォォォォ!!!!!!」」」




 攻撃は効いているみたいだ。


 でもこれ、怒ってる方の鳴き方だよな……




 するとスナドリは口から砂の塊のようなものを出してきた。




「まずい!!あれは地属性魔法のサンドショット、霧斗早く逃げろ!!」




 え、コイツも魔法使えんの!?いやいやこんな至近距離、逃げれるわけねえだろうが。考えろよ。これはもうやるしかない!!






「廻暫!!」






 スナドリがサンドショットを打つと同時に俺は廻暫を使い、サンドショットを打ち返した。


 すると、サンドショットは、スナドリへ命中し、俺は間一髪避けることが出来た。


 


 あれ?意外とすんなりとできちゃった...やっぱり俺っ てこういう才能あるのかもな。




 俺はそのままスナドリへの攻撃を開始した。


 


 スナドリは攻撃が相当痛かったみたいで、




「「「グオォォォォォォ!!!」」」




 スナドリはこれまで以上の声で鳴きながら、暴れて攻撃してきた。


 俺は、この声の衝撃波とスナドリの羽が当たって、近くにあった木に勢いよくぶつかった。


 


 ___っう!……結構痛い!よく木に当たるな。なんか俺、木に向かって罰当たりなことしたか!?


 これはもしかしたら骨折したかも……スナドリが睨んでくる。




 まるで、我が子を殺した相手を睨むように。


 全身に力が入らない。廻暫を使って、体力が限界に近いのもあるが、やっぱり木に衝突したのがでかい。




 ズズズズズ




 何の音かと、慌てて目を見開く。


 ___サンドショットが俺めがけて勢いよく飛んできている。






 全身に力が入らない。


 大分ヤバいな、これ。




「まさかあいつ、魔法を使えるとは。霧斗、お前はよくやった」




 俺は目を閉じてサンドショットを覚悟を決めて待ち構えていたが、目の前からガネーシャの声が聞こえて、すぐに目を開ける。




 ガネーシャは自身の剣でスナドリを一突きで倒していた。更にサンドショットも砕いた形跡があった。


 俺がかなりのダメージを与えたおかげだからかな。




「おいガネーシャ、『廻暫』習得できたぜ」




「ああ、なかなかの上出来だ」




 俺は背中を痛めたから、ガネーシャに引きづられて森から出た。


 結構頑張ったんだから、もう少し優しい対応をしてくれ。




「いやぁ、にしても霧斗良く魔法使えるやつに怯えずに戦えたなぁ」




俺が調理したスナドリの肉を食いながらガネーシャは言う。ガネーシャの作る料理は信用できないからな。でも、やっぱりスナシリーズの肉は上手いな。一番美味しかったのはスナイノシシの肉だけど。




「いや、俺はあれが魔法ってことを知らなかっただけだよ。もし初めから魔法を使えることを知ってたら逃げてたよ。」




「まあこれでお前の実力が分かった。そろそろお前の持っている固有魔法について話そうと思う」




 え!?俺って魔法使えんの?そういえば森に入る前にガネーシャが言ってたな、固有魔法がどうとかこうとか。ようやく俺も悪魔たちに復讐ができる可能性が見えてきたぞ!!




 面白くなってきたじゃねえか!!!!






名前:津狩霧斗


種族:人間(異世界人)


固有スキル:現在不明


武器:鉄の長剣


防具:無し


所有技:廻暫


所有魔法:無し


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