第五話 秘密の修行Ⅱ
次の日、俺は朝の10時に起きた。
この世界にも時計や目覚まし時計はあるらしい。ガネーシャが所持していた時計をこっそり見て時間を確認した。さすがに腕時計やデジタル時計などは無いらしい。
にしても大分寝ていた。というか蓮のことが夢にでてきてあまり眠れなかった。
ガネーシャはすでに起きていて、自身の修行をしていた。俺だったら体力が持たなくて夕方くらいになって気絶してしまうだろう。
「おお、ようやく起きたか。準備を整えたらさっそく修行するぞ」
起きてすぐに修行をするのか。
いや違う。
このくらいじゃなきゃ悪魔たちには勝てない。
今は修行をつけてくれることだけでも有難い。
「実はこの修行場は俺の親父が創ったんだ。俺のためにな。だがその頃の俺からしたら難しかった。そしてこの修行所をクリアする前に親父はここを離れたから……クリアっていってもクリア条件なんてないけどな」
ガネーシャは素振りしていた剣を止め、思い出したかのようにそう言った。
神にも父親とかいるんだな。確かにそうじゃなきゃ生まれてこれないもんな。
「やっぱりお前の父親も神だったのか?」
「当たり前だろ。親父はかなり強かったよ。昨日の鳥の化け物なんてワンパンチだろうな。というか俺の固有スキルがあまり戦闘向きじゃないっていうのもあるかもな」
そんなに強かったのか。きっとその人がいたら安心なんだろうな。
いや、決してガネーシャが頼りにならないわけではない。
きっと今、尊敬する人は誰?と聞かれたら、真っ先にバスケ部の先輩かガネーシャか、勉強を教えてくれた鹿下、弁当を忘れたときに、すかさず自分の弁当を分け与えてくれた新明……それから蓮。って結構いたわ。
「話は変わるが、まあ、とりあえずお前にはここでいろんな魔物を一日中倒しまくってもらう。戦闘経験は増やしておいた方がいいからな。一日最低でも15頭は魔物を倒してもらう」
「ああ、わかった」
それから俺たちは森の中に入り、スナイノシシやスナクロコダイル、そしてどんどん現れてくるスナ○○を倒していった。
何でオアシス的な森にいるのにスナ〇〇を倒さなきゃいけないのか分からない。
そんなことが続いて、2年半が経った。
1日15頭だったら簡単に5年間を過ごせると思っていたが意外と難しかった。今まで普通?の男子高校生として日常生活を送ってきた俺には、この2年間半は辛すぎた。でも俺は”あの時の怒り”を思い出して乗り切ることができた。
「お前も良い動きができるようになったじゃねえか。初めて会った時に比べて、スピードは勿論、体力も大分ついたし、筋肉量も半端じゃない。これでやっと下級悪魔から逃げれるくらい成長したな」
まあ頑張ったからな。
今ならシャトルランとか何回でも行けそう。でも、これだけ修行をしても下級悪魔から逃げれることしかできないのか。まだまだ先は長いな。
「もう剣技を教えても大丈夫な頃合いだな。剣技を習得したら今までとは段違いに強くなる」
おお〜俺はこの時を待ち望んでいたぞ〜。俺もようやく技とか使えるのか。
「早く教えてくれよ」
「まあまあ、そんなに焦るな」
ガネーシャは暴れ馬をなだめるような声でそう言うと、話を続けた。
「これからお前には『廻暫』という技を習得してもらう。『廻暫』は古の人間達が対悪魔のために作った技で現在習得している人間はほとんどいない。かなり高難易度な技だがやはり、実戦での方が発動しやすいから、こうしよう。お前には今からこのまえの鳥を一人で倒してもらう。そして、その戦いの中で『廻暫』を習得してもらう。それまでの修行期間は1ヶ月。頑張れよ」
……まじで言ってる?
俺があいつと戦うのか?
あれに勝たなければ悪魔には勝てないってことか……。
なるほど!理解……できん。
いや無理だろ!!!!
一般悪魔と同等とか何とか言ってたじゃん!
技を発動させるためとはいえ、どんだけスパルタなんだよ!
「___ところで、あの鳥の名前は?」
「スナドリ」
うん、知ってた。
それから俺はスナドリに勝つために、ずっと魔物退治を続けた。
この森林は魔物が無限のように湧いてくる。
だから毎日ただひたすらに魔物を倒していた。
最近わかったんだが、出てくる魔物は地球にいる動物に似た生物が多い。だから動物の習性などを知っているからそこを使えば簡単に倒せることができた。たまに厄介なのがいて、魔法を使ってくる。まだ、魔法とか使えない俺はギリギリまで耐え続けて最終的にガネーシャに助けてもらった。
その魔法を使う奴以外の魔物は軽々と倒せるようになったけど、やっぱりあのスナドリに勝つイメージは浮かばない。飛ぶことすらできない俺が本当に勝てるのか疑問に思ってしまう。
話は変わるが、ガネーシャはまだ一度も魔法を使ってない。
全て剣で対処している。
ガネーシャの能力はなんなのだろうか。やっぱり神だから派手なのかな?まあ使わなくてもだいたいの魔物に勝てちゃうから見れる機会はないと思うが......
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