見える子と魔女と■/05
前の家から持ってきた自転車なら17分程度で駅から住んでいる家まで着くけれど、ドーラは自転車を持ってはなく。仕方がなく自転車を押そうとすると、ドーラは私の前に立ちハンドルを引っ張りながら「座ってろ」と言われ私は椅子へと座りはしたが、足で地面を蹴りながらドーラの寝床へと私達は駅から民家沿いを山へと歩くはじめた。
ドーラの後ろ姿を見ながら私に住んでいる町の歴史を聞かされ気が付いた時には、私が住んでいる家を通り越し森林が増え、昨日ドーラたちを見かけた道を抜け山道へと差し掛かった頃にドーラはハンドルから手を放した。
「ここから入るぞ」
「?」
「どうした?」
「道ないよ?」
そう急に立ち止まったりドーラが指を向けた場所は道なき森林が生い茂っている山だった。
「あー忘れてた」とドーラが言うと左手で指をパチンと鳴らした。
「……何かしたの?」
ドーラが指を鳴らしたのに何も変化がなく私は自転車におり何が起きたか分からず聞くと、ドーラは肩を落とした。
「アイツ寝てるな……」
「寝てる?”奴”さん」
ドーラは「ああ」と困った顔をしながら、私に少しここに居てくれ言われドーラは森の中へと歩き出したのだが、森へ入った瞬間にドーラの姿が消えた。
驚きながら私は消えた場所へと近づき手を伸ばしたが、私は消えること無く何も変化がなかったことで、ドーラが物の怪の類だと再確認してしまい恐怖が再度やってきた。
「逃げるなら今か?!」
「聞こえてる聞こえてる」
「え?」
「逃げても良いけれど。その代わりお前さんは憑りつかれるぞ」
ドーラのその忠告にも似た言葉だけで私は緊張し体を硬直させると、ドーラは笑いだしながら先ほど消えた場所から4m離れた場所から音もなく出てきた。
「すまん。これで森の中に入れるはずだ」
さっきまで森林だった場所にゆっくりと山道が浮き上がってきたことに私は怖気付きながら聞く。
「ねえ、ここに入らなくちゃダメ?」
「どうした?」
「姿が消えるなんて考えもし無かったし、私の体憑りつかれる前に壊れたりしない?」
「……ーーあー、ドーラが森の中に入った時に姿が消えたように見えたもんから、その森の中に入るなんて体に害はないのか心配しているのか」
「そうそれ!」
「安心しな。さっき結界内に入ったから消えたように見えただけだ」
「結界て……ある範囲を守るあれ?」
「その結界だ。侵入者から目を欺くために道を消しているんだが。”奴”が寝ていたせいで結界が解除できんかったから今なら入れるぞ」
「本当に平気なんでしょうね?」
「平気平気」
ドーラはまた私の手を引き肩幅くらいしかない山道を歩き出す。
前へ前へと歩くが一つ気になる事があり後ろを向くと来た道が森林と同化し何時しか道が消えていく。
不可思議な事に目を奪われながら私は歩きながらたどり着いた場所は小さい神社だった。
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