蛇隠し編 Part2 「獣憑き」
学校へと到着し席についた私は、いつもより周りが騒がしいことに気づく。
「見た?今日のニュース、近くのラブホでさ…」
「あー見た見た、なんか死体が蛇みたいに捻れ曲がってたって…」
ラブホ…?死体…蛇?俄には信じ難いけど、どうやら近くのラブホテルで死体が発見されたらしい。
「みほろは見たの?そのニュース」
クラスメイトに聞かれたが、私はそのニュースを見ていない。
「ううん、でも…みんな近寄らないようにしよう。また巻き込まれたりしたら大変だから」
今日もあの二人は欠席らしい。
「…まさか、ね」
悪い予感がするが、考えても仕方ない。
帰りのホームルーム終わり、私はバッグを肩に掲げて帰る準備をしていた。
教室を出ようとすると、廊下を素早いスピードで誰かが通りぶつかる。するとその誰かに手を取られ、わたしは思いっきり引っ張られる。
「ごめん!ちょっと着いてきて、アイス奢るからさ」
「ちょっ、ちょっと…名乗ってもないのにそんな…!」
あれ…でも、この子から何かを感じる。
私と同じ、得体のしれない何かを。
私が連れてこられたのは、学校の裏にある旧校舎の一部。
立て壊さずに残っている理由は、どうやらこの学校の生徒会長が固く反対してるかららしく…。
「あ、まことお姉ちゃん。その子、新しい研究会のメンバー?」
「かんな、お留守番ご苦労さま。アイス買って帰ろうか、そこの美少女も一緒にどう?」
「え?え?」
研究会?なんのことかさっぱり…。
「あの、研究会ってなんですか。私を連れて、どうしてここまで…」
恐る恐る聞くと、目に映ったのは真っ白な髪のまことさん。そして、大きな耳と大きな尻尾。
「視えるんだ」
視える…?
「君にはまだ感じられてないけど、君の奥に眠ってる…獣の魂が」
私の中に、何かが。
「まことお姉ちゃん、ちゃんと説明してあげて。しないなら私が代わりにしてあげる」
かんなと呼ばれた少女が説明を促す。
「ここはかくれんぼ研究会。失踪事件の人探しをメインに活動してる。まあ、メンバーは私とまことお姉ちゃんだけなんだけど」
人探し…?よくわからないけど、この子たちが特別なのがよくわかった。
「じゃあ、1つ頼んでもいいですか。私達2年1組のクラスメイト2人が、長い間欠席してるんです」
でも、2人は虚ろ気な顔をしている。
「悪いけど、それはできない相談だ」
「もう手遅れだよ、だってあの二人は」
しかし、相談は聞いてもらえなかった。
「悪い悪い蛇に食べられて、二人一緒に仲良く居なくなっちゃったから」
寒気がする。恐怖を感じる。
「でも、私達はその悪い蛇をやっつけに行くんだ、だって私達は」
今まで見えなかったものが目に見える。
白い狐と、桃色の犬が。
そして2人はこう名乗った。
「獣憑きだから」
Part3に続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます