Prologue 蛇隠し編

蛇隠し編 Part1 「異変」

「みほろー!朝ご飯できたぞ〜」

兄に呼ばれて、私はぬそぬそと起き上がった。

「ん~今行く〜」

寝ぼけた眼を擦り、私【津雲みほろ】は兄のまひろに呼ばれリビングの食卓に座る。

「まひろ兄、洗濯物干しといたよ」

「おう、いつもありがとな」

代々津雲家には津雲の槍という、「神の力」を封じ込めたとされている槍を受け継いでいるのですが、津雲家の代は私たち九十九代目で途絶えてしまい…。

『もうさ、これなんかに使えそうだし物干し竿にして洗濯物干そうぜ』

『まひろ兄、そんな罰当たりな』

と、散々な扱い方をしていたのである。

私達兄妹を産んだ両親は行方不明、親戚も近所に住んでおらず、私はまひろ兄と二人きりで生活を共にしていたのでした。

「そういえばまひろ兄、またバイト辞めたの?」

ご飯を口に頬張りながらまひろ兄と食卓を囲む私たち。

「…なんかさ、俺主夫の方が向いてると思うんだよな」

明るいことが取り柄のまひろ兄ですが、その周りへの気配り癖のせいか、人と関わることを嫌い…私といる方が安心するという、いわばのダメダメな兄なのでした。

「もー、私は奥さんじゃありません…そりゃまあ、人付き合い苦手なまひろ兄の代わりに働いてあげないこともないけど…うちバイト禁止だし、バレたら退学だし」

でも、まひろ兄が精一杯働いてくれたお陰で私は、志望校の霊泉高校に入学する事ができたのです。

「みほろが折角霊泉に合格したのに、蓋開けたら校則めちゃくちゃ厳しくてさ…あの学風でよくここまで厳しい校則作れるよな」

私の志望校である霊泉高校は、古くから伝統のある学校なのだが、今の代の校長が『伝統のある我が校も新たな文化を取り入れるべき』と、古くからある校舎を新しくし、制服に新たなバリエーションを取り入れたのだ。

その結果、古くからある厳しい校則だけが残り

バイト禁止、染髪禁止、携帯禁止、恋愛禁止など…あらゆるものが禁止されてしまっていたのだ。

「でも、クラスのみんなすっごく仲良くて、いじめもなくて…ってあれ…そういえば、中山くんと藤井さん…あれからずっと連絡ない」

2週間前から欠席している2人のクラスメイトのことをふと思い出した。

「気にすんなよ、どうせ不純な動機で休んでるんだろ。男女二人で欠席なんてそうに決まってる」

「食事中なのにデリカシーないなあ、ごちそうさま」

と、ちょうど朝ご飯を食べ終わったので、朝の支度をして玄関に出る。

「じゃあいってくる、まひろ兄」

私はドアを閉め、学校へと向かった。

「おう、気いつけてな…なんだこれ」


『今日未明、市内のラブホテルで、未成年男女2人の遺体がに捻れたままーーー』


「何も起きねえといいんだけどな…」


Part2に続く。





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