第5話 グランド渓谷での攻防


 俺達第5輜重部隊はグランド渓谷の手前の町カンに着いて居たマリナ川からヨヨ川に成って1日の所に有る町だ、この町はカン辺境伯領都で人口が12万人とかなり大きな町でヨヨ川の肥沃な大地があり農業が盛んな土地だったがダンジョンが10年程前に発見されて益々発展している所だった、そんな大きな町だが約800人の輜重部隊が泊まれる所は無い隊長と副隊長は宿に泊まるだろうと思い後は町の外の平地にテントを張りだした、するとそこに隊長のルゴイア・アランタと副隊長のゴリンズが現われて指示を出し始めた、俺が二人に如何してここにと言うと体長が言った「隊長が居ない部隊は烏合の衆だ」と言って笑うと隣で「俺はもともと百姓だ贅沢は敵だ」と笑ったが、傍で聞いていた連中も笑い出したので俺は良い部隊だと感心していた。


 俺が流石隊長だと感心していると俺の傍に来た隊長が小声で言った、「これが人身操作術だ」と小声で言いながら笑って居たので、俺が「良いですね。それを頂きます後々の為に」と笑いながら返して置いた、ここカンからはグランド渓谷迄は馬車で2日の所で我々は予備の輜重部隊なのでここに止まる事に成っていた、俺は隊長に渓谷の状況を調べて来たいと進言しながら既に何処をどの様に調べたら良いかも考えていた、可成り前だが渓谷には来た事が有り俺ならここから攻めると言う所が2カ所あり其処を確認したいと言うと、隊長が本部に連絡を取って呉れて第1部隊の斥候と調べに行く事に成った、そこは谷の北西部である程度山が高いが足場が良くてある程度の部隊の移動にも耐えれる場所だと俺は思っていたが、本部はノーマ-クに成っていて斥候はおろか見張りも置いていない所で俺が進言すると第1部の斥候の部隊長があそこは無い、あんな所を通るのなら俺だったら帰るとまで言い出したが俺が気に成るのでと言うと、其処まで言うので有れば1名付けるから自分で調べろとまで言われたが、時既に遅しで其処から侵入してきた敵に第1部隊はコテンパンに遣られ部隊長も戦死、斥候の部隊長も慌てて部隊自体が壊滅していた。


 そんな知らせを持って俺は急いで隊長の待つテントに急行して事の成り行きを伝えた、隊長は其処で炊き出しをすると用意をする様に伝えてパンにス-プにごった煮と言う物を作らせると、前線から逃げて来た兵士が辿り着くと温かい食事を振る舞い帰って来た兵士に状況を確認していた、帰って来る兵は殆どが1等兵か2等兵で将校クラスは皆無だった、敵も雑魚は後回しにして将校クラスを倒したり捕虜にした様で初戦は惨敗のありさまを見せていた。


 多くの将校が死に第一軍はほぼ壊滅状態でこの戦争が終われば再編成が行われると言う話が出て来た、俺達隊にいる連中は殆どが雑魚スキルの部隊なので再編制と言っても関係が無いと気にも留めて居なかったが、その考えをしていた事を後から思うと「馬鹿野郎」と言ってやりたい思いに成った、今はそんな事も知らないのだから仕方が無かったとも言える。後の事はその時はには寝耳に水の話に成っていたし今の戦争を如何して行くのかが気に成っていた。


 その後第2軍と第3軍の活躍で敵を撃退したが、影から俺の活躍が有った事が同行者の斥候から齎されたのは言うまでも無い何しろ俺は出世を目出しているので、ある程度は目立ちたいと言う自分の意志に従いながら味方の為に奮闘していたのだ、今回の敵は2万5000人の大部隊で約5000人が死に捕虜がそれを上回る8000人だった、こちらの損害は第1軍の将校が5人と将兵が約1000人の損害で敵に比べると軽微と言えなくもないが、防御の甘さが目立ち1軍の自意識過剰が彼らを死に至らしたという事が報告されていた。


 グランド渓谷の戦いが済んで40日掛けてアランタ伯爵領に帰って来ていて、半年ほど何も無く過ごして居たが軍の再編成が発表されることに成った、その事を隊長のルゴイア・アランタから聞いていたが事前に隊長より打診されていたことがあった、隊長が今度大軍の部隊長に成り階級も中尉から少佐に成ると言う事で俺に第1軍に来てくれないかと言う事だった、階級も伍長から2階級特進で曹長になり1軍の特別斥候部隊を預けたいと言う事だった、俺は二つ返事で受ける事にしたが今度の守備は王都に成ると言う事と隊長から何人か連れて行けと言う事だった、俺は17才で曹長に成れたが今度の守備は王都に成るのでまだまだ家には聞こえないだろうと思った。


 トルコテの王都はインタナ川の下流にあるのでイ-イから凡そ500kmの距離で人口が120万人でこの近辺の国家では3本の指に入る都市だった、そんな状況の中で俺は弟子二人と共に隊長より一足先に王都の軍に赴き着任したが、先の戦いで大打撃を受けた第1軍は人数こそまだ1軍と言う事が出来る数は居たが、将校や指揮官が全て死んでいたので着任時は俺が最上の階級で軍の総大将のタルカント・ホーナン侯爵から各将校が決まるまでと隊長のルコイア・アランタ少佐が着任するまでの間を君に任せると言われていた、俺は総大将に隊長の着任は何時頃に成る予定か聞くと後2カ月は掛ると帰って来た、総大将は彼が着任してから他の将校も相談しながら決めたいと言って居たので全てが確定するのが早くても2カ月以降に成る事を理解した。


 俺は2カ月間でこの軍を如何するか考えていたが、とに角全体のレベルを上げる為に近くの森の魔物や街道筋の森の魔物を駆逐する積りで訓練と称して魔物狩りを行う事にした。その成果は著しく上がりオ-クを539匹コボルトを750匹ゴブリンに至っては1130匹と成果を出して、近隣の町や村から喜ばれたがそれ以上に喜んだのが兵士たちだった、刈った魔物をギルドで売りさばきその金を兵士に平等に分配したからだ、兵士は家に仕送りする者や夜の町の繰り出す者と色々だったがレベルも上がり町からも喜ばれ兵士の株も上がり、楽しく魔物を駆逐出来て一石3丁の効果がある事を今更に分かり今後も機会が有れば遣ると兵士は約束して呉れた、俺はその実積でBランクに昇格していたのは皆には言っていないがその内バレるだろうと思っていた。


 2カ月が経ち隊長がやっと赴任して来れた、隊長は今は伯爵家に無くてはならない人物に成って居たので国と伯爵家との間で何らかの取引が有った様だが俺には関係が無い、その後ホーナン侯爵と隊長の間で各部隊長の決める話し合いがされる様だが何とその席に俺が呼ばれて居たのだ、其処で俺は寝耳に水の事を隊長から聞くことに成って仕舞った、なんと俺を第1軍の副隊長に昇格させると言う事で階級もこの前に曹長に成ったばかりだと言うのに中尉に成れとと言うのだ、俺は少し考えて受ける事にしたが俺の二人の弟子も昇格する事に成った、ホルトとマイスタの二人が軍曹になり部下も10人を持つ10人隊長に昇格した、当然棒級も上がるので実家に仕送りが出来る様に成ったと二人は喜び俺にこれからも宜しくお願いしますと頭を下げていた。


 俺は中尉に成ったが俺の名前が在り来たりな名前でグラントと言う名の兵士は数えると100人に一人はいると言う事で、家には全く伝わら無いでほっとしていたしここは王都なので距離があると言う事も有って今の所は全て上手く行っていた。



 



 

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