第7話 年頃の女の人(ラルフ)

 僕は今まで、恋をしたことがない。本で知識はあった。そもそも捨てられてからババアに拾われたし、


「女の人にはたぶらかされたりするから注意しな。ラルフは容姿がいいからね」

 と師匠にも言われてた。


 師匠が死んでからも1人で細々日々生きていたから女の人と会うことはしなかった。買い物に行く時も変装したし。


 そんな中、森で罪人の女と知り合う。

 やたらお礼を言われたり死にたくないやら死にたいとうるさい。


 前世がニホンジンで自分はそこから来たと。


 怪我をしている時は仕方なく背中の治療のたびに薬を塗ってやった。

 背中には赤い鞭で打たれた跡が無数に残っていた。


 でも傷が治ると抱きついたりされる。

 その度に僕は困った。こんな事された事ないし!突き放してとりあえず身を守る。


 森でも自分の魔法で吹き飛び、僕がクッション魔法で抑えなかったら木に激突していた。


 助け起こそうとしたら引っ張られて転けて捕まえられ可愛いとか言われるし!い、いい匂いするし!!


 お、起きあがろうとしたら偶然胸に手が乗って柔らかいものを手のひらに感じ、一気に僕は熱くなってしまった!!


 その時に周囲からブラックウルフ達の気配を感じたけど。


 そこからはとりあえずブラックウルフを掃討した。後ろはお姉さんに任せた。見事に倒したみたいだけど、まだまだ雑なコントロールだなあ。


 夕飯にキノコスープを作った。

 相変わらず、平民の作ったスープを美味しいと食べる。

 前世の話もやはり嘘じゃないなら魂は同じ平民なんだ……。


 でもその夜、僕は……とても恥ずかしい夢を見てしまった!!あろうことかお姉さんがタオル一枚で僕の事を銀の瞳で見つめていて……。


「ラルフ様♡好きにして♡」

 とか言ってくるから僕は真っ赤になり起きた!!


 そしたらなんか下の方がとんでもない事になっていた!!


「ひ!!な、何これ!!?

 は、!本で読んだ、アレ!?」

 と気付いて恥ずかしさで死にそうになった。


 大急ぎで片付けて身支度を整えて朝食を作る。僕はお姉さんが起きてきてまた恥ずかしくなった。


 な、何だこれえええ!!


 *


 バスン!ズウウウン!


 と大木が倒された!

 お姉さんの魔法は日に日に上達していった。


「だいぶ、コントロール上手くなったね。もう1人でできるよね。ブラックウルフ達も寄ってこなくなったし。

 明日からは本当に1人で練習を……」

 と言うと、泣きそうな顔して遠慮なく僕に抱きついてきた!!


「うわあああん!まだ、ダメですううう!!1人で森とかもう怖いしいいい!」


「嘘つけえええ!!」

 てか胸当たるから!!当たるから!!


「グラビティション!!」

 恥ずかしさのあまり、つい重圧魔法でお仕置きする。


 全くこの人なんなんだ!!

 しかも度々、この人の夢を見て朝から大変な事になるし。でも生理現象だと思うことにした。本では成長期の男子にはよく見られる事など書いてたし……。


 そ、そう、これは別に恋とかそんなんじゃない!!絶対に違う!!違うしっっ!


 そんな時また事件が起きた!

 今日は雨だから部屋にこもって魔法の調合薬を作っていたらノックされた。


「何?どうぞ」

 と言うとお姉さんは手になんか布を持っていて……よく見るとそれは下着だった!!



 僕はもう固まりかけた!!


「ラルフ様!!これ私のパンツなんだけど!!一枚しかないの!!どうしたら新しいの買えたりするの!?」

 と聞く。


「は!?そ、そんなの!!へ、平民は手作りで!!」

 と赤くなる!!一枚しかないって!!い、今、スカートの下履いてないの!?


「布を買って作るの?自分で!!?」


「そ、そうだよ!!」

 と赤くなる!!村の娘さんは裁縫が得意だから多分作れる。でもこの人、前世そんなの作った事なさそうだ!!


「……。ラルフ様!これと同じの作って!!」

 とやっぱり頼み込んできた!!


「う、うああう!」

 と思わず唸ると


「あ、サイズ測る?」

 とスカートをめくろうとしたから慌てて


「ひっ!やめて!!わかった!!作る!作るから出てってーーー!!」

 とバンと追い出した。

 僕はパンツを握りしめハッとした!!


「う、うああ!」

 下が大変になってる!!


 とりあえず僕はパンツの量産をする羽目になった!!



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