8話:占奈さんの占い結果【ゴーグル】
今日もいつも通り
教室のざわめきが少し遠くに聞こえる中、
「見えてきたよー! ゴーグル! いいことあるよ~」
その仕草に思わず微笑んでしまう。毎朝の占いが、僕にとって幸せな時間だ。
「
きっと今日あるプールの授業の話だろう。僕は少し緊張しながら答える。
「そこそこかな。
「わたしはね、どっちだと思う?」
「え、
僕は真剣に考えを巡らせる。
悩んでいると
「正解はね、沈まないけど進めないでした」
彼女はその言葉を言い終えると、両手をバタバタと動かして見せる。まるで水中で泳いでいるかのようなジェスチャーに、思わず笑みがこぼれる。
「つまり、泳げない?」
「なんかね、手足バタバタしても進めないんだよね」
● ○ ● ○ ●
プールの授業が始まった。
プールを挟んで対面に女子たちが並んでいる。思わず、
水着姿で髪の毛をまとめて帽子に収めた
「
隣にいる友達の
「み、見てませんし」
慌てて言い訳するが、
授業が始まり、プールで泳ぎ始める。僕は本当に運動が得意な方で、泳ぎもある程度得意だった。自由に泳ぎの練習時間が始まると、プールの中をスムーズに泳ぎ回る。
水中の音が心地よく耳に響き、リズムよく泳ぎ続けていたその時、背後に何かがぶつかる感覚があった。驚いて振り返ると、そこには
「あ、
「大丈夫だよ、僕が気づかなかっただけだから」
僕は笑顔で答える。
プールの縁に腰を下ろす
プールの中から見上げると、彼女の髪から水滴がぽたりぽたりと垂れ落ち、しなやかな肩を滑り、胸、お腹へと伝っていく。陽射しを浴びた水滴は、小さな宝石のようにキラキラと輝いている。
その一滴一滴が彼女のなめらかな肌をなぞりながら、ゆっくりと太ももの間に集まっていく。僕の視線を完全に捕らえて離さない。
「あ、
彼女が足をモゾモゾさせる無邪気な仕草が、余計に可愛らしく感じられる。
「ご、ごめんなさい」
「もうっ!」
僕の言葉に、
「私ってさ、ほんと、ドジでおっちょこちょいで、今日もゴーグル壊れちゃうし、占いも外れちゃうし」
「嫌になっちゃうね」
僕は
「大丈夫だよ、
僕は自分のゴーグルを差し出す。
「え?でも、
「ゴーグルなくても泳げるから大丈夫だよ!
「ありがとうね、
「じゃあ僕はもう行くね」
泳ぎの練習を続けるために、僕はプールの中へと戻る。
● ○ ● ○ ●
練習の途中、水中で
「 ◯ ➖ ⚪︎ ➖ ◯ !」
(きっと「ありがとう」って言ってるんだろうな)
そう思いながら僕も手を振り返す。
● ○ ● ○ ●
プールが終わり、教室に戻ると、もうすぐ昼休みの時間だった。
「ねぇ、
僕は
「き、きかないで……」
「う、うん」
僕はそれ以上何も言えず、静かに頷くだけだった。教室の中は静まり返り、ただ二人の間にプールの塩素の香りが漂っていた。
占奈さんが使ってくれたゴーグルは、僕指定文化財。
「今日も占い当たっていたよ、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます