7話・前編:占奈さんの占い結果【枕】
朝の陽射しがカーテンの隙間から差し込み、目を覚ました僕はスマホのアラームを止めると同時にRINEを開いた。まず一番に確認するのは、
「
送った途端、すぐに既読がついた。心臓がドキッとする。
「
「
少し照れくさくて、でも期待に胸を膨らませながら送信する。
「私も
その返事を見て、心が一気に温かくなる。
「お勉強会が!楽しみ!」
「準備する!」
連続で送られてくるメッセージに笑みがこぼれる。
○ ● ○ ● ○
「そろそろ向かうね」
送信してから既読がつかないけれど、彼女も準備で忙しいのだろうと想像する。僕も慌ただしく支度を済ませ、家を出た。
外に出ると、太陽が眩しく照りつけ、少し吹く風が心地よい。心の高揚感に背中を押されるように、足取りも軽く、
途中、お土産を買っていこうと、近くのスーパーに立ち寄る。
(正午の紅茶を飲んでたなぁ。たまに教室で羊羹食べてたなぁ)
レジを通り、袋詰めを終えたあと、お店から出ようとガチャガチャの並んでいる前を通った時、見覚えのある後ろ姿が目に入った。
しゃがんでガチャガチャを見つめる白いワンピースを着た紫の長髪の女の子。間違いない、
後ろからそーっと近づき、
出てきたカプセルを嬉しそうに開ける
「やったぁ!」
小さな声で喜ぶ
「あ、
顔を赤くして驚く
「ちょっと買い物をね」
「み、見てたの?」
「最後の方だけ、ごめん」
「声掛けてくれてもいいじゃん。
後半は声にならないくらいの小声だったけど、僕はハッキリ聞こえた。その言葉に胸がキュンと締め付けられる。
「も、もう行くよ!おいで!」
○ ● ○ ● ○
二階建ての一軒家に到着し、
「ただいま〜」
「入っていいよ
ドキドキしながら扉をくぐると、
「あら、お友達って男の子なの〜」
「は、はじめまして!
「そんなにかしこまらなくていいのよ〜でも偉いわ〜」
「
「おじゃまします。あの、これお土産です」
買ってきた飲み物やお菓子類を渡すと、
「あらー、ありがとうね!あとで届けに行くわね」
「
階段を上り、突き当たりの扉を開けると、
白を基調とした天井と壁、緑のカーペット、紫の小物が散りばめられた部屋。机とベッドの横には水晶玉が2つ置いてあり、タンスやテーブルなど、全てが綺麗に整頓されている。
(ここが天国か)
思わず心の中で呟いてしまった。
「
本当に、入っていいのかな。異性の部屋に1対1で入るなんて、どうなんだろう。そもそも家に入るのもどうなのだろうか。急に緊張が高まる。
「もー
「はい、座って!」
言われたまま座ると、
「ようこそ!どう?私の部屋は?」
焦っていた僕は、考えがまとまらないまま、目の前に座っている
「あの、
「え!?へ、へやのこときいたんだよ!?」
お互いに恥ずかしくなり、俯いてしまう。その時、扉を叩く音がした。
「お菓子と飲み物持ってきたわよー」
(あれ、
「あー!
「う、
「う、うん。
その言葉に、僕は驚きと嬉しさが混じった感情で胸がいっぱいになる。
しかし、
静かな空間が広がる。
「ねぇ、あなたたちって付き合ってるの?」
「ちがうよ!もう、お母さんは出ていって!」
「はいはい、しっかり勉強するのよ〜」
「
それだけ言うと、扉を閉めて階段を降りていく足音が聞こえる。
「もー、ごめんね
「でも優しそうでいいお母さんだと思う」
僕が答えると、
「じゃあ、来月のテスト対策のお勉強会はじめよ!」
しかし、
「その前に、占いさせて
「い、いいんですか?」
部屋まで来て占いまでさせてもらえるなんて!
「でた!おかしな
「こっちきて」
「みえてきたよ! 枕! いいことあるよ〜」
――後編へ続く
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