第35話

 第十層は少し屋根が高い洞窟だった。洞窟といっても明るさは保たれている。遠目にドラゴンが見える。


「この階層はドラゴンのようだ。俺の結界から出るなよ。ブレスで黒焦げになるから」

「わかった」

「わかりました」


 ドラゴンに近づく。


『人の子よ。我と戦うか。愚か者め』


 ドラゴンが喋った。倒すしかないのか?


「ファイヤーアロー!」


 カレンがファイヤーアローを放つ。しかしドラゴンには効いていなかった。


「ファイヤーアローが効かない!」

「えいっ!」


 エレナがドラゴンに斬り込む。ドラゴンの鱗に弾かれる。エレナの剣が折れてしまった。


「あたしの剣が!」

『そんなもの効かぬわ!お返しだ!』


 ドラゴンはブレスを放った。エレナとカレンが俺の結界に隠れる。3人とも無傷で済んだ。


『な、なにっ!効かないだと!』

「今度はこっちの番だ!」


 俺は剣に魔力を込めてドラゴンを斬った。ドラゴンから血が噴き出す。


『ぐおぉっ!貴様!よくも!』


 ドラゴンは尻尾を振り回した。これも結界が阻んだ。


『ぬうっ!我の攻撃が効かぬ!このままでは…』

「これで終わりだ!」


 俺は剣に魔力を込めてドラゴンを斬った。ドラゴンは真っ二つになった。


「これで終わりかな?」

「アイン!すごいよ!ドラゴンを倒しちゃった!」

「やった!」


 ドラゴンの体は消滅し巨大な魔石になった。周囲を調べると宝箱があった。宝箱の中身は瓶の中に入った液体のようだ。鑑定してみるとエリクサーと出た。


「エリクサーだ。これは冒険者ギルドに献上しようと思う」

「わかった」

「多分お金になりますね」

「じゃあホルンのところに帰ろう」


 俺たちは第九層への階段を上がっていった。

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