第5話 東日本大震災の日 の 記憶から・・

 2011年3月11日午後2時過ぎ、当日シゲルさんは朝から営業課長の加藤さんのお手伝いで外回りをしていて、お昼過ぎに事務所兼工場の方に戻ってきたのでした。仕事の方はボチボチこなしているくらいで、新たに軽トラックを改造してのキャンピングカー造りが、若手の大工さんを入れて始まっておりました。


 その方の傍らに小型のテレビが置いてあって、東北地方で発生した地震の事を映しだしていたのです。大工道具とか余った資材などを工場に戻しながら、チラチラと何の気なしに見たその画面には、SF映画に出てくるような規模のスケールの大きな破壊されていく港町の映像だったのです。😨しかし、ここは長崎でほとんど関係ないみたいな職人さんたち周囲の反応で、そのときは通常業務に戻らざるを得ませんでした。


 一日の仕事を終え、帰宅後に自宅で見たニュース映像は、ハッキリ言って地獄絵図みたいな状況の画面ばかり、避難の途中に撮影されたと思われるものが沢山あり、危機一髪で助かってる方がいると思えば、目の前を走っている車が津波で流されてゆくような悲しいものも。今までで最大の地震災害であった阪神淡路大震災時の高速道が横倒しになってる映像もショックを受けましたが、地震による大津波の恐ろしさをリアルタイムで見るようにハッキリと映した映像は、国内を通り越し全世界へと流れて、どこの放送局も状況を伝えていたのです。


 その事がきっかけだったかどうかは、シゲルさん今はっきりとは覚えてないみたいですが、3月末で入社1年が過ぎるのを前に、先が全く見えない(期待できない)職場を退職しようと前向きに考え始めたのです。ワンマン社長で品質論外で儲かればいいと断言するばかりか、時として職人や事務員さんにまで怒鳴り散らすのには、さすがにもううんざりしていました。😞


 年度が変わって4月となり、すぐに思ってもいないことが起こりました。何と、温厚で大変優秀な設計兼営業課長の加藤さんが退職されると言うのです。シゲルさんにとっては青天の霹靂みたいなショックを受けたとともに、先を越されたみたいな気分に陥りました。こりゃイカンとシゲルさん、この機会に便乗してワンマン社長殿に家庭の都合云々でと、一月後の退職の意志を告げたのでした。


 次の就職先については全く考えていなかったので、またしばらくはハローワークへ通いつつ、知り合いのツテなどを頼りに働き先を見つけよう~と考えてたのでした。


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