第4話 癇癪もち社長の続き どんでん返し
安物買いの大~損だった!事件のあと、工場自体はやや静かに深く潜行してしまった反面、従業員にとっては穏やかで平和な生活が続いておりましたそうな。
そんなある日、地元長崎の大手”三菱造船所”関連の下請企業からの船形模型製作の作業を受注し、手こずったものの無事納品を済ませたのですが、その繋がりにて仕事をたまに頂いていた会社との合併のお話がでてきたのです。
景気が悪い中で、お互いに営業範囲を広げ受注量を増やしたい思惑があったみたいですが、口八丁手八丁のわが曲者社長どのが、技術者肌で生真面目な相手社長をどうやって言いくるめたのか、なんと、吸収合併の形となり当社に設置されてない加工機械が先方から何台か工場に運び込まれたうえに、その方が数日後に営業兼技術部長の肩書で入社されたのでした。
最初のころは相手方の手持ちの仕事を引き継いで作業が発生していましたので、営業から加工場に配置転換となっていたシゲルさん含め、模型専門で仕事されてた職人さんたちも数名ついてこられて、賑やかな雰囲気で順調に進んでいき吸収合併は成功だったように感じられました。
ところがです、案の定、手持ち仕事が徐々に減り職人さんたちの作業に目に見えて遊びが出てくるようになると、またぞろ癇癪社長のお出ましとなったのでした。
もともと技術部長に任命された元社長さんは研究者や開発者タイプの方だったので、大人しいうちは口八丁手八丁の曲者社長にも口裏を合わせれたみたいですが、さすがに癇癪がたびたび破裂するブラック社長に変身した時は我慢が出来なかったようで、外まで聞こえるほどの大声での怒鳴りあいとなり2ヶ月と持たずに合併はご破算となり運び込まれた特殊な加工機械も引き揚げられてしまったのです。
とにかく、仕事が順調な時は、へらへらニコニコ(*^-^*)の黄門様が、一旦癇癪が破裂すると、1階の事務所内で怒鳴りあっている声が2階の切断や加工機械が稼働している場所までハッキリと聞こえてくるのです。会話の内容はいつも上から目線で相手を叱責したり、自分を棚に上げての相手の無能さを喚き散らすのでした。対面している相手が自分より立場が弱いと判断したらば、とことん言わないと気が済まないのです。
東森シゲルさん、ほぼ1年くらいが経過した希望満杯だった再就職先に「こりゃ~もうやっとれんな~?」と思い、風前の灯みたいな気分になっていきました。
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