日常の、イラッとすること!
崔 梨遙(再)
1話完結:900字
取引先の人事課長から、合コンのセッティングを依頼された。公私ともに親しい課長さんだったので引き受けた。女友達の藍子(女性陣のリーダー)と課長さんとで連絡をとってもらい、次の土曜の合コンがセッティングされた……らしい。
僕は出席しないので、我関せず! と自分の仕事をしていたが、藍子から電話があった。
「なんなん? 今、忙しいんやけど」
「合コンの件やけど」
「僕は行かへんから知らんで」
「ちゃうねん、5対5の合コンやねんけど、女の子5人ともお金が無いから、男性陣に奢ってほしいねん」
「ほな、課長さんに言うたらええやんか?」
「私からは言いにくいやんか、せやから、崔さんから言うといて」
「わかった、言うとくわ」
「課長、合コン、女性陣が『金が無いから奢ってほしい』と言うてますわ」
「わかった、任せとけ」
「ほな、よろしくお願いします」
土曜日の夜、藍子から電話があった。
「何? 合コンは? もう終わったんか? 早いな」
「夕食の前に解散になったで」
「あ、そうなんや。てっきり夜までコースやと思ってたけど」
「崔さん、私、奢ってくれって言いましたよね? なのに、全部割り勘やったんですけど、どういうことですか?」
「僕に言われても、知らんやんか」
「腹が立つから、ビシッと言うといてください」
「ちなみに、カップルは何組成立したん?」
「1組も成立してませんよ」
「あ、そうなんや」
「奢ってくれへんかったから、女性陣はみんな怒ってますよ」
「わかった、わかった」
「課長? 合コンの件なんですけど」
「何? なんかあった?」
「事前に女性陣が奢ってほしいと言ってたのに、割り勘やったからみんな怒ってますよ。なんで奢ってあげなかったんですか? ランチとカラオケやったら、奢ったとしても安いもんでしょう?」
「崔君、奢るかどうかは、僕等が決めることや。崔君には関係無い」
そう言われて、イラッとした。
「いやいや、実際こうやって板挟みになってるんですから、関係はあるでしょう? 僕が女性陣から怒られたんですよ」
「あのなぁ、崔さんは来なかったから知らんやろうけど」
「けど?」
「5人全員ブサイクやったんや!」
「ああ、なるほど!」
何故か納得してしまった僕だった。めっちゃ男の都合だけど。でもイラッとした。
日常の、イラッとすること! 崔 梨遙(再) @sairiyousai
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