かっ飛ばす主人公
「失礼します」
声と同時に鳴り響くドアの音。
馬鹿広い部屋のど真ん中にあるめちゃくちゃ大きいベットに彼女は寝ていた。
緊張する……俺は今、人生の全てを捧げた女の子の目の前にいる。
執事として素早く主人をおこさなければならないのだが、前世から愛している人を目の前にして俺は目を話すことが出来なかった……
透き通るような銀髪 少しはだけたネクリジェ 鼻くすぐる甘い香水の匂い
本編前だからなのかストーリーで見た時より幼く見えるけれど……
「かわすぎるでしょ」
ヤベ!
つい可愛すぎて言ってしまった。
でも大丈夫だ。ノア様はまだ寝てい………
「ユウリ今私のことなんて言った?」
「あ」
めちゃくちゃ起きてた〜
そしてめちゃくちゃ聞こえてた〜〜〜〜
まずい。どうしよう。とりあえずしらばっくれた方がいいかな?
「ノア様おはようござ「「今、わたしことなんて言ったのて聞いてるの!!!」」
ノア様が顔を歪ませながら声を放つ。
幼いながらも一軍隊より強い可憐な少女の声が屋敷の中に響きわたる。
まずい。どうにかして弁明をしなければ
ん?待てよ
これは逆にチャンスなのでは?
ノア様の今の年齢を鑑みるに今は本編開始のおよそ三から四年前。
主人公どころか登場人物は俺以外会っていないはず。
もしかしたらここでノア様に愛を伝えられるかもしれない。
前世からの言葉を
例えどんな酷い言葉を投げられてこの屋敷に居られなくなっても二度とノア様と話すことができなくなっても……この言葉だけは伝えたい。
「私はノア様のことを可愛いと言いました。そして今言うのもアレなんですが私はノア様のことが大好きです。これは嘘でもなんでもありません。以前からと思っていましたが流石にノア様にこのことを話すのは無礼と思いまして」
ああ、言っちゃった。気まずい空気が流れていっている。
この屋敷から出て次の仕事を探すことを覚悟をしたがなんだかノアの様子が変だ。
顔をプルプル振るわせてこちらに睨みをきかせながら
いきなり大声で
「なんで、なんでなんで私にそんな言葉を言うの?!!私は天使と悪魔から生まれた忌み子だよ!!私はお母さんにもお父さんにもそんなこと言われたことがない!!いつも私はこの黒い翼と一緒に嘲笑に晒されて!!どうせユウリも私に同情の聞かせて私にそんな言葉を言ったんでしょ!!」
びっくりした。
そうだノア様はファンブック書いてあったけれど生みの親である天使と悪魔はお互いが子を成したことに対してバレるのを恐れてノアを人間の世に置き去りにしたんだ。
その上、引き取られた貴族の家では義母や義妹に黒い翼のことで忌子扱いされて虐められたんだ。今はあの家から離れて少しのメイドと俺と一緒に仲良く暮らせているけれど周りにこんな奴らがいるこんな家庭環境だったら、その様な思考にもなると思うけどでも でも俺はあんなクズ親とは絶対違う。
何回もゲームを周回してノア様が助かるルートを探し続けた。何年も何年も……結局ノア様が助かるのルートは一つもなかった。バク技だって何だって試してた、内部データを覗いたりもした。
公式に追加コンテンツでのノアルート追加をお願いするハガキだって1500枚以上書いたことある。
でも駄目だったんだ。
何度もノア様を助けられない自分の無力さに泣き苦しんだか……しかし今は目の前にノアがいる。だから……
「ノア様。私は同情など一切のかけていません。この言葉は何一つ嘘偽りのない気持ちです。私は知っています。ノア様が夜、屋敷を抜け出して鍛錬を積んでいることやメイドが皿を割って怪我をしてしまったときにとても心配してくれていることも私は知っています。そんなノア様を見てきたのです同情など一欠片もありません」
少なくても前世から今世まで俺が世界一ノアを愛していている。
俺はそういい手を広げる。
ノア様が口をぱくぱくさせている。ーーー可愛い。
「なんで……なんで……
あなたはもっと素敵な人がいるでしょう。なんで私に」
ノア様が泣きじゃぐった声で言う。俺が返す返事は一つだけだ
「あなたに惚れてしまったからです。」
そう前世越しの言葉を放った瞬間、ノア様は泣き出してしまった。
ノア様が俺に抱きついてくる。
「本当にいいの?私、ユウリが思うものよりずっと愛が重いよ?」
知ってる。ゲームで散々他のヒロインに嫉妬する姿を見たから。
「他の女の子と喋るだけで嫉妬しちゃう様な女の子だよ?いいんだね」
俺は頷き、抱きしめる。
「じゃあ よろしくお願いします……」
今にも消えそうな声で俺に返事くれた。
待ってろよ運命。絶対にこの子をラスボスなんかにしない。
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見ていただきありがとうございます。
もし誤字脱字があるようでしたら気軽にコメントで教えてください。
作者の創作意欲がグンと上がります。
ギャルゲーのラスボスの執事に転生してしまったのだが @oda09
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