ギャルゲーのラスボスの執事に転生してしまったのだが
@oda09
第一話 転生
「うっわーマジかよ」
自分の倍近くある大きさの鏡の前で前世ではいくら何をしても拝めなかったイケメンの顔を見ながら
自分の思いを吐露する。
「俺ギャルゲーのラスボスの執事になっちゃったじゃん」
♦︎
この世界……ユーノロンノというギャルゲーの世界にはラスボスがいる。
ノクリタージュ セント ノア
この子は令嬢でありながら、平民の主人公が大好きであり、なぜかメインヒロインが嫌いすぎて主人公が結ばれないようにさまざまな妨害をし、最終的には悪魔と契約して主人公に殺されてしまうという悲惨な最後を負ったキャラなのである。
そして俺はこのキャラが大好きだった。
ブラック企業に勤めていても、挫けずに七年もブラック企業でやっていけたのは間違いなく彼女存在があってこそだったし。
(まあ、無理が祟って心臓発作でポックリ逝っちゃたけど)
彼女のグッツは全て持っていて俺の狭い部屋はノアのありとあらゆるグッツで溢れてかえっていると言っても過言でもない。
そしてノアの生存ルートを見つけるためにユーノロンノをやっている最中に倒れて転生してしまったらしい。
え、なぜそんなに好きなんかなんて?
「だって銀髪なのに翼の色が黒色とか、自分のことを嫌いと言われても「じゃあ好きになってもらうね」て言ってくる、一途でヤンデレなこととか、馬鹿みたいに強くて国一つぐらい余裕で焦土にできる強さだったり、もう主人公がノアのことをことを拒絶する意味がわからない」
ノアへの愛を確かめながら自分が転生した執事について考えてみた
「しかしノアの執事か……シナリオにちょびっとだけ出てきたけ?……ああ、そうだ。ノアが悪魔と契約する時に生贄にされたんだ。名前は確か……ユウリだっけ。」
ギャルゲー本編では印象が薄い、というかほぼセリフだけ(立ち絵もなし)のノアの執事……それがユウリだ。
設定集で初めて姿が公開されたユウリは人間の子で紛争地帯の国境沿いに捨てられていたところを優しい村の人達に保護された。
2年ほど前、国境沿いから襲ってきた盗賊から幼いノアを助けたことでこの屋敷の執事になったのである。
ノアもユウリに対して信頼をおいていたが……結局悪魔と契約する際にノアに主人公と結ばれるならと悪魔との契約の生贄にされてしまった。
いわばモブ。そしてここからノアの暴走が始まるのだ。
まあ、ノアの主人公に対する執着心を見たら生贄ににされるのもわかるけどさ。
「人の心とかないのか。」
自分の前世の名前とユウリが一緒で当時は数少ないノアとの会話を自分に見立てながら妄想にふけていたっけ。だからこそノアに「お前はもういらない」と生贄にされたときめちゃくちゃショックで三日三晩泣き続けたんだっけ。
「やっべ!思い出話をしている場合じゃあない!もうノアを起こしに行かないと。」
時刻は7時30分。いつも朝7時45分には朝食の時間のため急がなければ、間に合わない。
幸い、何度もゲームで通ってきた道なのでノアの部屋やこの屋敷の間取りは全て頭に入っている
急いで慣れない手つきで執事服に着替えて最愛の推しの主人を起こしにいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます