第9話 入部

 警官達が去った後、3人は戸部とメロスと合流した。 そして、5人は分かった情報を共有した。


「そうか、依頼人が俺達をハメようとしたんな。」


「イレイザーにとって、犯罪をするのに萬部が邪魔だったのでしょうか…?」


「じゃあ俺達が戦った爺さんとあの女の子も構成員って事か?」


 俺の初の部活動がまさかこんな過激なものになるとは…。萬部は犯罪組織と戦ってるのか…。この人達はすごい。俺じゃついて行く事ができないかもしれない。


 合流してから情報共有が終わった頃には夕方になっていた。俺達はそこで解散した。俺は帰宅して、入部について考えた。

 

俺じゃついて行けないかもしれない。やっぱり入部はやめよう。俺はそう思ったが、あの少女の顔を思い出すと、気持ちが揺らぐ。


 どうしてあんな子が犯罪組織の一員なのか…。親は居ないのか…。なんだか寂しそうな顔をしていた。そういえばどうして余分に2人攫ったのだろうか。萬部をハメるためなら、あの爺さんだけ影に潜ませればいいはずだ。攫われたのは30代女性と40代男性…。俺はしばらく考えてみた。


───家族が欲しかったのかな…。


 月曜日、俺は今日もシュンタと萬部へ向かった。部室に入ると、みんな揃ってた。


「シュンタ君も戸部君も来たね。それじゃあ、話し合いをしよう。」


 エーミール部長がそう言うと、全員がそれぞれ椅子やソファに座った。話し合い、きっと俺が入部するかどうかについてだろう。


「それじゃあ戸部君、単刀直入に問う。君は萬部に入る?」


 俺はこの2日間考えて決めた。俺の答えは───


「入部します。」


「決めた経緯を聞いていいかな?」


「俺は一昨日、あの女の子と会って思いました。何で犯罪組織の仲間なのか。どうして2人も攫ったのか。きっとあの子は寂しがってます。だから俺は、あの子を助けたい。それが俺の萬部での目標です…!」


 俺がそう言うと、シュンタと兵十先輩が感心したように言った。


「戸部君は優しいね!シンタもそう言ってるよ。」


「俺も、いいと思う。」


「この前も言ったけど、萬部は危険な事を沢山ある。それでもお前は戦う覚悟はあるか?」


 メロス先輩は少し心配そうに言う。だが俺はもう決めた。


「大丈夫です。」


「けどよ…」


「戸部君は、メロスと一緒にお爺さんと戦ってくれた。メロスはそれを一番近くで見てたからこそ、心配するのも分かる。でもきっと、戸部君はきっと戦えるよ。」


 エーミール部長が言った。その言葉にメロス先輩も納得したみたいだ。


「それじゃ戸部君、これからよろしくね!」


「はいっ!」

 俺はあの子を助けたい。その為に頑張る。


「戸部君、入部が決まったし先生の所に挨拶に行こうか。」


「先生?」


「そうそう、全然顔を出してくれないうちの顧問。」


 そういえば初めて来た日に言ってたような…。


「わかりました、行きましょう。」


「それじゃ、案内するよー。」


 俺達は階段を降りて学校を出た。学校から15分くらい歩いて、駅に向かった。


「先生、元気にしてますかね?」


「引きこもってばかりだもんな…。」


「ちゃんとご飯食べてるといいんだけどねぇ。」


 俺達は駅に着いて、改札を通ろうとした。しかしそこで兵十先輩が止められてしまった。


「お客様、そちらは…?」


「火縄銃だ。」


「ひ、火縄銃!?お客様、困ります!」


「弾丸は持ってないから問題ない。」


「そうゆう問題では…!」


「おかしいな…前は何も言われなかったのに…。新人か?」


 この後、警官が駅に来て事情を説明してくれた。先輩達にさっき「火縄銃は置いてけ」って言われてたのに…。大体常に狐のお面してる時点で怪しいよ…。


 そんな事を考えながら電車で5つ隣の駅に向かった。駅を降りてからは、バスに乗って30分程揺られた。バスを降りて5分くらい歩くと目的地に着いた。


「着いたよ、戸部君。」


「ここが顧問の先生のお宅ですか…?」


 庭に草木が生い茂って、手入れがされてないようだ。本当に人が住んでるのか?


「そう、ここが萬部顧問、ルロイ先生のお家だよ。」


to be continued

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