第9話 勇者の苦労
―――その頃、ヴェルロイド王国にて
「ふっ、やはりシードは出て行ったか。これで我が国は安泰だな」
「あぁ。死霊使いなど居るだけで悍ましい。それに奴は我らを脅かす存在だ」
「…何時まであの屋敷は燃えるのだ」
「知らん。観光名所にもなっているし一石二鳥だろ。お前の店も設けてるんだろ?」
「おう。野菜が良く売れる。シードが居なくなった今、買うのは観光客だしな」
「長年の見張り御苦労だったな。まぁもう暫くは頼むぞ。農民の真似はなれただろうがな」
「あぁ、かなり慣れてしまった」
「え、えっと…」
「おぉすまない、君に任務を与えようと思ってね」
「は、はい!」
「どうやら今は魔人共は自国に戻っているようでな。偵察を頼みたい」
「な、仲間が居ないんですが…」
「ハハハ!問題ありませぬぞ勇者様!貴女は最強なのだ!」
「…分かりました!では準備がある為失礼します!」
「うむ。ゆっくりでも良いから頼むぞ」
「はい!」
勇者は出て行き、扉が閉まる。それと同時に部屋の中は笑い声で満たされた。
「クックック…あの勇者は馬鹿だな!」
「実に馬鹿だ!厄介払いされてる共知らずにな!」
「死んでくれれば楽だ。次の勇者は徹底的に洗脳するとしよう」
「そうだな。あれは貴族に歯向かう庶民派の勇者故…死んでもらうしかない」
「「うむ」」
――――翌朝
「………魔王城って何処にあるんだろう」
国を出たは良いけど、私がそんな場所を知ってる訳も無い。非常に困った。
取り敢えず直線に進むかぁ…。だってそれしかないもんね。うん、仕方ない。
「――――シード!あれって勇者?」
「どれどれ…」
名前:ワールス
種族:人間
クラス:勇者
レベル:82
HP:4092/4092
MP:6565/6565
筋力:333
耐久:452
俊敏:923
魔力:777
器用:444
幸運:0
ユニークスキル:魔封結界、八連切開
スキル:聖魔法lvⅤ、剣術lvⅨ、索敵lvⅠ、危機察知lvⅣ
称号:追放者、馬鹿正直、勇者
「勇者なんだけど………勇者って追い出されるもんなの?」
見た目は冒険者に似てるかもしれない。黒髪のボブショートで、黄金の瞳が特徴的かな。胸はあるから女子っぽい。
「さぁ…。どうする?殺す?」
「…いや、待ってシャナリア。此処は一旦誘い込もう。最近出来た屋敷にね」
「屋敷って…確か貴方のあの屋敷?異世界の文明を取り入れて作ったって言う…」
「そ!住む?」
「私の家無いからねぇ…」
「まぁ考えときなよ。壊したの俺だし、流石に住まわせてあげた方が良いと思ってる」
「じゃあ住まわせてもらおうかしら」
「帰ったら話し合おう。…ばれないように転移発動できる?彼奴を屋敷近くに飛ばす」
「行けるよ。…一時的に視覚を奪えば良い。混乱してるうちに…こんな感じで」
視界を一時的に奪う魔法があるにはある。闇系の魔法で、視界を真っ暗にする奴とかね。
彼女はそれを使い、勇者が焦ってるうちに転移を発動させて屋敷の前へと飛ばした。
「後は俺に任せて」
「ん」
「な、何なの…!」
「やぁ」
「え?…えっ!?」
「勇者が何も警戒せずに魔族の領域を歩いちゃだめだよぉ。あぁ失礼、自己紹介がまだだった」
「し、シード…」
「あれ?知ってるの?つまんねぇなぁ…。君はワールス、今代の勇者だろ?」
「…そうだよ。何?誘拐したの?」
「そりゃするだろ。勇者を魔族が恨んでないとでも思ったか」
「そ、それは…」
「まぁ国から追い出された事には同情してやる」
「え?追い出された?」
「…自覚無いのか?仲間も居ない勇者をそんな簡単に国から出すか?軍隊も率いさせずに」
「あっ!」
「…ば、馬鹿かなのかお前」
「馬鹿じゃない!というかどうして人間のお前が此処に居る!」
「俺はもう人間じゃない。魔人だ。それに…人間は俺が最も嫌いな生き物だ。虐待、差別、横領、色々と下らない。今の魔族もだがな」
「………」
「まぁお前を連れてきた理由は見せしめに丁度良いからだな。あぁ、俺に勝てれば見逃すぞ」
「舐めないで!」
「ステータスを見せてあげよう」
名前:シード=レブレンス
種族:魔人
クラス:魔王秘書
レベル:893
HP:893893/893893
MP:982111/982111
筋力:2024
耐久:2111
俊敏:1900
魔力:8938
器用:999
幸運:-999
ユニークスキル:淵渦、神羅万消、破壊魔法、神聖魔法、時空間魔法
スキル:魔法lv?、剣術lv?、格闘lv?、索敵lvⅩ、危機察知lv?、状態異常耐性lv?、鍛冶lvⅠ
称号:追放者、死霊使い、禁術使い過ぎ、闇落ち、純粋、魔王より魔王、鬼畜、殺人鬼、快楽殺人鬼、お姫様っぽい
「んなっ…」
「快楽殺人鬼って…流石シード!」
「ラスト、そこを褒められても嬉しくないよ」
「え~」
「死神!?」
「うん!シードの妹!」
「まぁ血は繋がってないけど…俺からすれば本当の妹みたいなもんさ」
「そゆこと!」
「…貴方は一体…」
「人間に嫌われ、人間を嫌うただの魔王秘書さ」
「……取り敢えずそのちょっとトイレを借りて良い…?」
「………案内するよ」
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