第8話 活動拠点
――――一週間後、朝
「うわっ、雨だ」
「お兄ちゃん!屋敷が出来たよ!」
「ハハハッ、何処にだい?」
「お城の近く!フロルが依頼してたみたい!」
「へぇ…。そうなの?」
「うん!来賓用にしようと思ってたんだけど、使う?」
「見て決める~」
と言う事で雨の中外を移動し、俺とシャナリアの戦いで消滅した丘へと移動。メンバーは俺、テンペスト、パラサイトのみ。
丘は既に治っており、その頂上には謎の結界が張ってある。しかも八重。
「こ、この結界は?」
「ん。お兄ちゃんの屋敷だから外側から見えないように結界を張った。不可視とか色々ある」
「…フフッ、ありがとな。仲間以外は入れないようにしよう。もう燃やされるのは御免だ。…まぁ俺の家になった場合だが」
結界の中に入ると…中々に綺麗な屋敷が姿を見せた。しかしそれは屋敷と言っても滅多に見かけない形。
何せこれは異世界の文化が取り入れられた屋敷なのだから。和風文化、とか言うらしいな。刀や羽織袴がある国の文化だ。
「…い、池にいるこれは何だ…」
「鯉って言うらしいよ。まぁ此処は小さめの水生魔物を飼う場所に良いかもね」
「「確かに」」
「というかシード、此処は庭が広いな!手入れも楽しそうだ!」
「フフッ、確かにね!気に入ってる?」
「今の所は!」
「テンペストはどう?」
「お兄ちゃんが気に入るなら私も気に入る」
「そっち系かぁ」
まぁテンペストだしそう言うとは思ったけどね。当時は自分絶対で他者の意見を聞かない系だったらしいけど、今は違う。
どうしてこうなったのか?…13から23までの俺との生活が原因でしょうね。
「中にお邪魔するか。……靴を脱ぐ…だと?」
「…何と言うか…慣れてないと無理だね」
「郷に入っては郷に従えって言うし…脱ごうか」
全員きっちり脱ぎ、素足で中を探索。部屋の数は結構多く、大広間みたいな場所は玉座の間並みに広かった。
確かに屋敷のサイズがおかしいなとは思ったけど、よもや此処まで広いとは。
屋敷のサイズが公爵家の屋敷と同じサイズ、ってかそれより大きいかもしれないもん。
「二階もあるけど…まぁ同じ感じだろうな。地下は今家に使いたい奴いないからなぁ。どうせ燃えてる方で寝てるし」
「「あ~」」
「どう?俺はありだと思うけど」
「私もありだと思う!」
「じゃあ私も!…あっ、そうそう、隣にもう一軒あるよ!屋敷と併設してて、屋根付きの通路を通って行けるらしい。別に中庭からも行けるけど」
「ほぉ、行ってみようか」
パラサイトは中庭から行くと言って大広間へと入って行った。大広間の障子開けると縁側に出るとその先は中庭だからね。
我々は屋敷の通路を適当に歩き、二つ目の入り口みたいなのを見つけたのでそこから外へと出た。
恐らく裏口と言う奴だろう。うん、そうに違いない。
別途で靴を生成してからしっかりと履き、扉を開けて外へと出る。すると屋根付きの通路があった。目の前には巨大な何かが存在している。
「旅館って言うらしい」
「………何だそれ」
「フロル曰く、宿屋みたいなもんらしい」
「ふぅん…」
「温泉があるとか」
「…何それ」
「色んな効能があるお湯らしいよぉ。露天風呂ってのもあるとか何とか」
「???」
「おっ、二人共!」
「おぉ、パラサイト君!そっちの道は如何?」
「濡れるけど、晴れなら結構ありかもしれない!」
「「お~!」」
「そうそう、それでね…露天風呂は内風呂から行くんだけど、その扉を使わないと行けないらしいの」
「面白いなそれ」
「ね!あと男女別」
「まぁそうだろうね」
「シードは女子」
「当たり前だな」
「いや待て、俺の声真似をしていうんじゃないパラサイト君」
「え~」
「お兄ちゃん!」
「お、おう」
「女子!」
「……お、おう…」
そこはまぁ…後々考えるとしよう。今は旅館がどんな感じかを見るほうが大事だ。
と言う事で旅館の中を見て回ったのだが、大広間みたいな場所は皆でご飯を食べる場所だな。
旅館と同じで、全部部屋の床は畳だった。厨房とかは別だけどね。
取り敢えず部屋の数も結構多く、こっちの大広間も悪くない。まぁこっちは屋敷より広いから宴会場になるかな?
んで風呂だけど、内風呂も広くて快適。脱衣所には冷蔵庫があってビールとかは言ってて更に最高。
髭生えてる人は剃れるような器具が置いてあるから、デミちゃんが使うかどうかだね。
俺?俺無いから。あったらラストが嫌がりそうじゃん。てかそうじゃなきゃ女子に似てるなんて言われない。
「露天風呂は外側から見ると無いが、内風呂からはマジで行けたな」
「ね!景色は自分好みに変えられるし!あそこだけ別世界感が凄い。でも天候とか時間帯は此処と同じだね」
「そうだったな。…さて、どうする?」
「「買う!!」」
「ん」
転移で城へと戻り、フロルの部屋へと移動。すると彼女は紅茶を飲んでまったり過ごしていた。
「フロル!」
「は、はい!」
「あの二つ買うわ。幾らだ?」
「タダだよぉ。秘書は階級的に私の次に凄いって事で!」
「…フフッ、ありがとな!さ~て、あんなデカい屋敷を貰ったなら流石に全員こっちに連れて来るべきだよな」
「そう思う」
「…明日一旦あっちに戻るか。折角だしシャナリア連れてくね」
「どぞどぞ。騎士団は今忙しいとは言え彼女は書類が面倒って言ってたから連れてって良いよぉ」
「ん!センキュ~」
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