5話 アキバハラでお仕事 1
今日は、学校がない。
ゆえに、私の仕事も休みである!
今日は、念願の推し活day!
今日はJKでいる必要がない。この姿のまま、人間に見えるようにして行くことにしよう。
リン、と電話が鳴る。休みの日に仕事の電話など受けてたまるか。指を鳴らして留守電に切り替える。
鍵を差し込み、扉を開けて、念願の地に降り立った。
――ここが、ジャパニーズ・アキバハラ……!
ジャパニーズ・萌えの結集する街! 家電臭と2-Aのブタどもに似た脂臭さがコンクリートの匂いに混ざりむっとこみあがる。だが、いつものような不快感はない。
なぜなら、「ひおさんぽ」で緋王様が訪れた地だから!
緋王様はアキバハラの日本文化として、日本の先進的な家電やメイド喫茶を紹介していた。また、この地にも美味しい寿司屋があると紹介していた。
今日はここをメインで巡ろう。
だが、緋王様に会えるチャンスがあるなら、そちらの方を優先したい。
私は、電信柱にいるカラスたちに人差し指を向けた。
「この地で最も位の高いカラスを呼びなさい」
カラスたちは一斉に飛び立った。しばらくして一羽のカラスが私の向かいのコンクリート塀に止まった。
「権平と申します。ようこそ日本にお越しくださいました。西洋の死女神、キル・リ・エルデ様」
「日本各地のカラスたちに伝令し、今日中に、緋王という名の男性の居場所を突き止め、私に伝えに来なさい」
「承知いたしました」
権平はバサバサと音を立てて飛び立っていった。
これで連絡が来るまではアキバハラ巡り、連絡が来た後は生緋王様拝みができる!
帰り際には日本酒をしこたま調達して帰ろう。もう何日も日本酒を買い損ねている。今日こそ、必ず!
さあ、早速緋王様が行ったメイド喫茶に行って……。
「キルコさん?」
……聞き覚えのある声に、そっと目だけを後ろによこす。
――皇 秀英。
なぜ。
なぜここに――も、そうだし、今日は死神の姿とほぼ同じ。JK姿の私とは違って、背丈が高く、グラマラス。顔立ちも大人びている! なぜこの状態の私の後ろ姿で、私だと分かった!?
ともかく、このまま近づいてこられて顔を見られてはまずい気がする。別人だったと踵を返す可能性が激しく乏しい予感がする。
逃げるか? いや、間に合わない。こちらに近づいてくる。まずい――!
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