8ネコ 夏休みのネコ

「夏休みだぁ~。一杯遊びぞ~♪」

(少し距離を縮めた夏)

(近くの海水浴場に来ている)


「でも君と一緒にこれるとは思っていなかったよ」

(ルナはモカと俺を視界にいれる)

「ふふ。どっちだろうね?」


(テストが終わった辺りから距離がさらに縮まった気がする)

「さ。泳ぐよっ!」

(車から出るとルナはすぐに白いフリルのワンピースを脱ぐ)


「大丈夫! 下に水着だから!」

(テンションの高いルナ。すぐに俺の手を引いて海に向かう)


「泳ぐよっ! あっ。その前にアレやっておく?」

(キキーッとブレーキをかけるルナ)



「ん。もうちょっと右に。そそ、いい感じ♪」


「あ。もう濡れたじゃない」


「伸ばして。伸ばして」

(日焼け止めクリームを伸ばす俺)


「ふふ。もうちょっと内側も塗って」


「もう。わたしと君の仲じゃない。いいよ、塗って……」

(顔を赤らめるルナ)


「恥ずかしいの、一緒だから」

(妖艶な笑みを浮かべるルナ)


(抱きしめるようにして日焼け止めクリームを塗る俺)

「そそ。いい感じ。……ありがとね」


「何よ。わたしだって感謝しているんだからね。君は少し素直すぎるよ」

(苦笑を浮かべるルナ)


「もう大丈夫。君も塗るといいよっ」

(そう言って日焼け止めクリームを奪うルナ)

「さ。寝そべって」

(うるうるとした瞳で言うルナ)


「始めるよ」

(ルナの手が優しく俺の肌をなぞっていく)


「ここが小胸筋かー。噂には聴いていたけど!」

(嬉しそうに俺の筋肉を触るルナ)


「ふふーん。鍛えていないんだ。それでもいいよ♡」

(妖艶な笑みを浮かべ、口元に指をやるルナ)


「これはわたしだけの特権なんだから――」

(にゃーん)


「あ。モカ! ずるい! そこはまだ触っていないのにっ!」

(モカが俺のふくらはぎ辺りをバシバシと叩いてくる)

「わたしもするっ!!」

(ルナも一緒になってふくらはぎをバシバシと叩く)


「わわ。なんだか堅くていい感じ♪」


「好き……。あっ、き、き筋肉のことが好きなだけだからねっ! 勘違いしないでよねっ!」

(顔を赤らめるルナ)

「もう。危ないじゃない……!」

(誰に対して怒っているのか分からない)


「じゃあ、今度こそ海で泳ごっ!!」


「え。泳げないの? でも海でぷかぷかするだけでも楽しいじゃない」


「ふふ。怖がらなくていいのよ。最初は怖いけど、すぐ慣れるから」


(ザプーン。海にはいる音)


「どう? 気持ちいいでしょ?」

(水をかけてくるルナ)


「男の子ならやりかえさないの?」


「え。女の子には……。もう、どこまで紳士なのよ。そういうところもいいけど……」

(か細い声が波音に消される)

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