6ネコ テストとネコと

(学校の昼休み)

「熱くなってきたね。モカは元気?」


「良かった。今日は時間あるから、君の家に行くね♪」


「なんで戸惑っているの? モカに会いにいくだけだよ♪ かわいー」


「ふふ。モカが可愛いのっ! 勘違いしないでよねっ!!」

(クスクスと上品に笑うルナ)


「そうだ。テスト勉強もしよ」


「え。忘れていたの? 再来週さらいしゅうだよ?」


「もう、君は地頭がいいんだから、もっと頑張りなさい」


「おかん? まあ、わたしはお節介ものだけどね~」


「そうだよ。気がついていなかったんだ?」


「お世話するの好きなんだ」


「だから、こうして毎日、君のお弁当も用意しているんじゃない」

(弁当を取り出すルナ)

(俺は遠慮気味に弁当を受け取る)


「さ。今日こそ、あーん」

(箸を取り出し、卵焼きをつまむルナ。その箸をこちらに向けてくる)


「もう。そろそろ受け入れてもらえたと思ったのに……」


「用心深いなー。まあ、軽いよりいいかっ!」


「二人仲いいね~♡」

(カナが話しかけてきた)


「そう。カナも一緒にお昼する?」

「ごめん。放送委員の仕事があるから♡」


「じゃあ、またね。ぼっち君♡」

(手を振って教室を出ていくカナ)

(その後ろ姿をじーっと見つめるルナ)


「君、大きい方がいいの?」


「や。ごめん! 忘れて……」

(哀しげに目を伏せるルナ)


「べ、別にコンプレックスってわけじゃないんだからね」

(細々と消え入りそうな声で呟くルナ)


「さ。早く食べて勉強するよっ!」



(帰宅。ルナも一緒)

「モカッ!!」

(ルナに歩み寄ってくるモカ)


「モカ、やっぱりキミは可愛いよっ!」

(モカをギュッと抱きしめるルナ)


「可愛いねー」

(顔を蕩けさせるルナ)


「さ。一緒にするよ」


「君に言っているの。早く出して。ね? お願い」


「もう。勉強しないと再試になるよっ!」


「そう。素直でよろしい」

(微笑むルナ)


「まずは何から始める? 君はスタートダッシュするタイプ? それともスロースターター?」


「え。勉強するとき、苦手な教科からするのか、得意な教科からするのか、気になって」


「じゃあ、得意な方からやっていこうか!」

(教科書やノートを広げる音)


「まずはこの問題だね。君の未来は『安泰あんたい』の漢字はこう書いて。わたしは感情の『起伏』があるはこう書いて」


「む。聴いている?」


(にゃーん)


「むう。なんだか負けた気がする……」

(不服そうにモカを見つめるルナ)


「さ。モカも、ちょっとそっちにいて。ね?」


「もう甘えん坊なんだから……」

(少しかまうことにしたルナ)


「もう、なめるの禁止」

(本気で嫌がっていないルナ)


「やったなぁ~♪」

(笑みを浮かべて、モカを撫でるルナ)

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