5ネコ ネコと一緒に!
「結局、里親は見つからなかったね。どうしよう……。学校だとトイレが心配だし……」
(昇降口で俺とルナは困惑する)
「そうだ! 君のおうちに預かってもらってもいい?」
「大丈夫! 大丈夫! 一日くらいなら!!」
「ご両親に連絡とってみてよ。まだ試していないじゃない」
「うん。わたしはお父さんがアレルギーなの」
「聴いてみても損はないでしょ?」
(小首を傾げるルナ)
(……)
「やった! やっぱり!!」
(子ネコを保護するなら大丈夫だった)
「さ、色々と準備したし。今日はとりあえずこのままモカと一緒に君のおうちに行くね♪」
「え。ダメ……?」
(困ったように眉根を寄せるルナ。声色に若干の色気を感じる)
「いい、よね……?」
(断れない)
「やった! 大好き!」
「え。いや、あの……。っ。モカのことっ!」
「べ、別に君のことが好きなわけじゃないんだからねっ! 勘違いしないでよねっ!!」
(耳までまっ赤にして返すルナ)
「もう。行くわよ」
(歩き出すルナ。でもすぐに立ち止まって、こちらを見てくる)
「って、どっちが君の家?」
「前、歩いて」
(俺は盛大なため息を吐く)
「もう、そんなに呆れなくてもいいじゃない。バカ……」
(少し愛の籠もった言葉に聞こえた)
「あ。こっちなんだ。へぇ~」
(興味津々に周囲を見渡すルナ)
「こんなところにラーメン屋さんとかあるんだ。行ってみたいな~」
「むむむ。子ネコがいると行けないよね。今度、いこ?」
「やった! でもなんでそんなに警戒しているの? 友だちじゃない」
「え。友だちだと思っていたの、わたしだけ?」
(がーんとショックを受けた顔をするルナ)
「いいじゃない。友だち、友だち♡」
「え。君はなんだと思っていたのよ」
「さ。もう行くわよ」
(……)
「って、だから。君が先導してくれないと分からないよっ!」
「もう。君の家に行くだけだよ」
(……)
「そろそろつかないの?」
「え。もう少し? もう二十分も歩いているよ」
「そろそろだよね? もうゴールしてもいいよね?」
「もしかして、わたしと一緒に居たくて、わざと遠回りしているんじゃない?」
(ジト目を向けてくるルナ)
「あははは。そんなに必死で否定しなくてもいいじゃない。からかっただけだよっ! もう真面目なんだから」
「え。ここ?」
(ルナは俺の普通の家を見上げて、目を輝かせる)
「じゃあ、モカを頼みます」
「うん。またくるね。友だちとして」
「ふふ。そんなに嬉しい? 友だちがいるの」
「はいはい。良かった良かった」
「じゃあねっ! バイバイ!」
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