3ネコ 授業とネコ

「みゃあ、にゃーん」

(ルナが甘えるような声で呼びかけてくる)


「みゃ? みゃーん」

(スリスリと頭を押しつけてくるルナ)


「みゃーっ!!」

(爪を立ててひっかいてくる)


「わたしを好きにして? ね♡」


「ふふ。いいでしょう? ここならふたりきりだし」

(図工室の中で上着を脱ぐルナ)


「えー。そんなに嫌がらなくてもいいじゃん」


「不服だよ。わたし、思い切って告白したんだよ? 少しくらいこっち向いてよ」

(上着を脱いで、ワイシャツのボタンを一つあける)


「そんなに魅力ないかな。確かに胸はないんだよね……」

(哀しげに目を伏せるルナ)


「え。わたしにもいいところある? 分かってんじゃん♪」

(スリスリと頭をこすりつけてくる)

(少し距離をとる)

「えー。なんだよ。つれないなー」

(不服そうに、だが笑むルナ)




「こら。なに寝ているのよ。もう少しで授業始まるぞ!」

(ルナは俺の頬をつついている)


「もう、こうなったらお昼休みも使わないとじゃん」

(いつの間にか寝ていたらしい)

「わたしの絵はあまり……。だから君に任せられると思ったの! 絵うまいじゃん」


「配置は考えたから、お昼休みに描こ。ね?」

(夢でみたルナと重なり、目をそらす)

「……そんなにいやかな。わたし」

(小さな声で呟くルナ)

「なーんでも。さ、いこ」


(振り返らないルナ)


「授業もう始まっているみたい。少し遅かったね」


「謝るならお昼来てね。まあ、わたしは寝顔が見られただけ……」

(頬を朱色に染めるルナ)


「ま、まあ。行くよ」


(ガラガラと教室のドアを開ける音)


「遅いぞ。二人とも」

「ごめんなさい。子ネコのことで相談していましたー!」

(至って明るい声で応じるルナ)


「分かったから。席つけ」

「はーい」


(席に着く俺とルナ。机は隣)


「別に慣れているわけじゃないから」

(小声で俺に言うルナ)


「本当は真面目だからね?」

(誤解されるのがいやみたい)


「ま、君に分かってもらえるのなら、それでいいんだ」

(困ったような笑みを浮かべるルナ)


「そうそう。校内放送も楽しみだね。里親見つかるといいねー」


「え。授業中? いいじゃない。こうして君と話せるきっかけができて、わたし嬉しいんだっ」

(弾んだ声を上げるルナ)


「そこ、静かに」

「えへへ。怒られちゃった」

(それでも笑顔でいるルナ)


「あの子の名前決めようよ?」


「え。里親探しているのに? 今だけでも名付けていいじゃん」


「わたしとの共同作業、嫌かな?」

(ふるふると首を横に振る俺)


「そう! 良かった~♪」

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